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大学数学基礎解説
文献あり

代数学講義 - §3 - 複素数の幾何学的表示

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極座標

複素数を極座標で表すことで、$0$以外の数字を$x+yi$に表すことができます。
それは、
$$z=x+yi=\sqrt{x^2+y^2}\left(\dfrac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}+i\frac{y}{\sqrt{x^2+y^2}}\right)=r(\cos\theta+i\sin\theta)$$
というものです。ここで、$0\leq\theta<2\pi$としています。この表示にするためには$\sqrt{x^2+y^2}\neq0\Longleftrightarrow z\neq 0$という条件が必要十分です。$r=|z|, \theta=\arg z$と書くことにします。
$z_1=r_1(\cos\theta_1+i\sin\theta_1)$$z_2=r_2(\cos\theta_2+i\sin\theta_2)$としたとき、
\begin{align*} z_1z_2&=r_1r_2(\cos\theta_1\cos\theta_2-\sin\theta_1\sin\theta_2+i(\sin\theta_1\cos\theta_2+\cos\theta_1\sin\theta_2))\\ &=r_1r_2(\cos(\theta_1+\theta_2)+i\sin(\theta_1+\theta_2)) \end{align*}
となります。つまり、極座標表示にしてしまえば積の計算がやりやすくなるのです。$|z_1z_2|=|z_1||z_2|, \arg z_1z_2=\arg z_1+\arg z_2$ですからね。
このことから、ド・モアブルの定理:
$$(\cos\theta+i\sin\theta)^n=\cos n\theta+i\sin n\theta$$
が分かります。これは$n$倍角の定理とか導出するのに使えますね。この記事では$3$倍角の定理だけ書いておきます。

3倍角の定理

\begin{align*}\cos 3\theta+i\sin 3\theta&=(\cos\theta+i\sin\theta)^3\\&=4\cos^3\theta-3\cos\theta+i(3\sin\theta-4\sin^3\theta) \end{align*}

ド・モアブルの定理を使えば、複素数の$n$乗根を求めるのも楽々ですね。

幾何学的表示

$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$$r>0, 0\leq \theta<2\pi$)という表示から、複素数を平面として見ることができそうですね。というわけで、$x+yi\Longleftrightarrow(x,y)$という対応を考えることができます。
(以下雑談)ちなみに、もし、$z=r(\cos 2\theta+i\sin 2\theta) $$r>0, 0\leq \theta<\pi$)と表示してみると、円錐で複素数を表示していることになります。この表示だと、極座標では$0$が特異的なのが目に見えるのでいいかな~と。もちろん、平面の場合の$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$$r>0, 0\leq \theta<2\pi$)と等価です。(雑談終わり)

参考文献

[1]
高木貞治, 代数学講義
投稿日:531
更新日:61
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