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東大数理院試過去問解答例(2011B07)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2011B07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。 

2011B07

S33次元球面、M2次元多様体とし、y0M上の点とする。C写像F:S3×RMF(S3×{0})={y0}を満たすものとする。またC写像
g:S3S3×Rx(x,1)
をとり、f:=Fg:S3Mとおく。αM上の2形式、βS3上の1形式で、dβ=fαを満たすようなものとする。以下の問いに解答しなさい。

  1. S3×R上の1形式β~dβ~=Fαかつgβ~=βを満たすものが存在することを示しなさい。
  2. β~Fαが閉形式であることを示しなさい。
  3. 等式
    S3βfα=0
    を示しなさい。

但し解答を書くに当たって、S3×Rのドラムコホモロジー群が
HdRi(S3×R)={R(i=0,3)0(othewise)
であることは証明なしに用いて良い。

  1. まずdFα=Fdα=0なので、H2(S3×R)=0であることとドラムコホモロジーの定義より、dγ=FαなるS3×R上の1形式γが存在する。p:S3×RS3を射影とする。このときβ~
    β~:=p(βgγ)+γ
    と定める。このとき
    dβ~=pfβpgFα+Fα=pgFαpgFα+Fα=Fα
    gβ~=gpβgpgγ+gγ=(pg)β(pg)gγ+gγ=β
    である。よって所望のβ~が得られた。
  2. 実際に計算してみると(1)から
    d(β~Fα)=d(β~dβ~)=dβ~dβ~=0
    であるから、結果が従う。
  3. 実際
    S3βfα=S3gβ~gFα=S3g(β~Fα)=S3×{1}β~Fα=(S3×[0,1])β~Fα=S3×[0,1]d(β~Fα)=0
    であるから、所望の結果が示せた。但し4つ目の等号はF(S3×{0})={pt}であること、最後の等号は(2)を用いている。
投稿日:74
更新日:75
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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