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科学大数学系院試過去問解答例(2023午前02)

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ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2023午前02の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2023午前02

$n$を正整数、$a,b$を正実数とする。ここで$n\times n$行列$M_n(x,a,b)$を対角成分が$x$、各$i=1,2,\cdots,n-1$に対して$(i,i+1)$成分は$a$$(i+1,i)$成分が$b$、その他の成分は全て$0$であるような行列とする。$x$を不定元とする$n$次多項式$D_n(x,a,b)$
$$ D_n(x,a,b):=\det M_n(x,a,b) $$
で定義する。

  1. $D_n(-2,1,1)$を計算しなさい。
  2. 任意の$x,a,b$について等式$D_n(x,a,b)=D_n(x,ab,1)$が成り立つことを示しなさい。
  3. 任意の$x,a,b$について等式
    $$ D_n(x,a,b)=\prod_{k=1}^n\qty(x-2\sqrt{ab}\cos(\frac{k\pi}{n+1})) $$
    が成り立つことを示しなさい。
  1. まず
    $$ D_{n+2}(x,a,b)=xD_{n+1}(x,a,b)-abD_n(x,a,b) $$
    である。よって$a_{n}=D(-2,1,1)$とおくと、これは漸化式
    $$ a_{n+2}=-2a_{n+1}-a_n $$
    $$ a_1=-2, a_2=3 $$
    を満たしている。よって$a_n={\color{red}(-1)^n(n+1)}$である。
  2. まず$D_n$は漸化式
    $$ D_{n+2}-xD_{n+1}+abD_n=0 $$
    $$ D_0=1 $$
    $$ D_1=x $$
    を満たしている。この漸化式を解くと
    $$ D_n=\frac{1}{\sqrt{x^2-4ab}}\qty(\frac{x+\sqrt{x^2-4ab}}{2})^{n+1}-\frac{1}{\sqrt{x^2-4ab}}\qty(\frac{x-\sqrt{x^2-4ab}}{2})^{n+1} $$
    が分かる。ここから$D_n(x,a,b)=D_n(x,ab,1)$が従う。
  3. (2)で求めた$D_n$$x=2\sqrt{ab}\cos(\frac{k\pi}{n+1})$を代入すると、その値は$0$になるから、結果が従う。
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント

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