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大学数学基礎解説
文献あり

『論理学をつくる』練習問題19(3)の証明

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$\{\land, \underline{\lor}, \leftrightarrow\}$ が十全であることの証明を以下に示す.

  1. 証明の方針(設計図)
    すでに $\{\neg, \land\}$ が十全(すべての真理関数を表現可能)であることは既知とします。
    したがって、今回の道具 $\{\land, \underline{\lor}, \leftrightarrow\}$ を使って、「否定($\neg$)」さえ作ることができれば、この集合も十全であると言えます。
    さらに、「否定」を作るための定石として、以下の関係を利用します。
    $\neg P \equiv P \leftrightarrow \bot$$P$ が矛盾式と同値であるとき、それは $P$ の否定である)
    つまり、目標は 「$\{\land, \underline{\lor}, \leftrightarrow\}$ だけを使って、常に偽となる式($\bot$)を作ること」 に定まります。
  2. ステップ1:矛盾式($\bot$)の作成
    まず、$A \underline{\lor} B$(排他的論理和)と $A \leftrightarrow B$(同値)の真理値を比較します。
$A$$B$$A \underline{\lor} B$$A \leftrightarrow B$
1101
1010
0110
0001

この表から、任意の入力 $A, B$ に対して、$A \underline{\lor} B$$A \leftrightarrow B$ は常に一方が 0 で、もう一方が 1 であることがわかります。
論理積($\land$)は、両方が 1 のときのみ 1 を返す演算ですから、この2つを $\land$ で結合すれば、どのような入力に対しても必ず 0 になります。
したがって、矛盾式 $\bot$ は次のように構成できます。
$$\bot \equiv (A \underline{\lor} B) \land (A \leftrightarrow B)$$
3. ステップ2:否定($\neg$)の作成
ステップ1で作成した $\bot$ を利用して、任意の命題 $P$ に対する否定 $\neg P$ を作ります。
$P$ が偽であること」と「$P$ と 偽($\bot$) が同値であること」は等価なので、
$$\neg P \equiv P \leftrightarrow \bot$$
これにステップ1の式を代入すると、
$$\neg P \equiv P \leftrightarrow ((A \underline{\lor} B) \land (A \leftrightarrow B))$$
となり、$\{\land, \underline{\lor}, \leftrightarrow\}$ のみで否定が表現できました。
4. ステップ3:シェーファーの棒($A|B$)の作成
最後に、これらを組み合わせてシェーファーの棒(NAND)を構成します。
定義より $A|B \equiv \neg(A \land B)$ です。
ステップ2の式の $P$ の部分に $(A \land B)$ を代入すれば完了です。
$$A|B \equiv (A \land B) \leftrightarrow ((A \underline{\lor} B) \land (A \leftrightarrow B))$$
結論
$\{\land, \underline{\lor}, \leftrightarrow\}$ を用いて矛盾式 $\bot$ が構成できる。
$\bot$$\leftrightarrow$ を用いて否定 $\neg$ が構成できる。
$\neg$$\land$ が揃ったため、これを用いてシェーファーの棒 $A|B$ (および他のすべての真理関数)を構成できる。
よって、$\{\land, \underline{\lor}, \leftrightarrow\}$ は十全である。■
補足:なぜ解答はあんなに短かったのか
解答編の記述は、この「否定を作るために矛盾を作る」という思考の足場をすべて取り払い、完成した数式だけを提示したため、飛躍があるように見えました。数学の証明では「$\bot$ を定義する」という中継地点を省略して、一気に代入した形(ステップ4の式)を書くことが多いためです。

参考文献

[1]
戸田山 和久, 論理学をつくる, 名古屋大学出版会, 2000, 442
投稿日:1日前
更新日:1日前
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