東大数理の院試(2024年度専門B問18)の解答です.自分が作った解答は ここ に置いてあります.
nを正整数とし,確率空間(Ω,F,P)上で定義された2n個の独立確率変数X1,X2,…,Xn,ε1,ε2,…,εnを考える.各i=1,…,nについて,Xiは非負値でE[Xi2]<∞を満たし,またεiは平均0,分散1の正規分布に従うとする.θを正の実数パラメータとし,各i=1,…,nに対してYi=εiθ(1+Xi)と定める.観測データとしてX1,…,Xn,Y1,…,Ynが得られているとする.関数Ln:(0,∞)→RをLn(t)=∏i=1n12πt(1+Xi)exp(−Yi22t(1+Xi))(t∈(0,∞))で定義し,Ln(t)を(0,∞)において最大にするtとして推定量θ^nを定める.
(1)logLn(t)=∑i=1n(−12logt−εi2θ2t+Ci)である.ただしCiはtによらない実数.これよりddtlogLn(t)=∑i=1n(−12t+εi2θ2t2)=12t2(−nt+∑i=1nεi2θ)なのでθ^n=1n∑i=1nεi2θ=1n∑i=1nYi21+Xi.(2)εiたちの独立性とE[εi2]=V[εi]=1よりE[θ^n]=θとなるから,θ^nはθの不偏推定量である.またE[θ^n2]=θ2n2(∑i=1nE[εi4]+∑i≠jE[εi2]E[εj2])=θ2n2(n⋅3+n(n−1)⋅12)=n+2nθ2よりV[θ^n]=2nθ2.
(3)θ~n=1n∑i=1nYi21+X―n=∑i=1nYi2∑i=1n(1+Xi)=∑i=1nεi2θ(1+Xi)∑i=1n(1+Xi)であるから,Xiが与えられた時の条件つき期待値はE[θ~n|Xi]=∑i=1nE[εi2]θ(1+Xi)∑i=1n(1+Xi)=θ.よってE[θ~n]=E[E[θ~n|Xi]]=θとなり示された.(4)E[θ~n2|Xi]=θ2(∑i=1n(1+Xi))2(3∑i=1n(1+Xi)2+∑i≠j(1+Xi)(1+Xj))であるから,xi=1+Xiとおけば(∗)3∑ixi2+∑i≠jxixj(∑ixi)2−n+2n=2(n−1)∑ixi2−2∑i≠jxixjn(∑ixi)2.ここで対角成分がn−1でそれ以外の成分が−1のn次対称行列をAとおく.t(1,…,1)はAの固有値0に対応する固有ベクトルである.またei∈RnをRnの標準基底とする時Aei=nei−(e1+⋯+en)よりA(e1−ei)=n(e1−ei)だから,e1−eiはAの固有値nに対応する固有ベクトルである.よってAは正定値なので(∗)は非負である.従ってE[θ~n2|Xi]≥E[θ^n2]なのでE[θ~n2]≥E[θ^n2].θ~n,θ^nがθの不偏推定量であることとあわせてV[θ~n]≥V[θ^n].
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