まず、こちらの問題をご覧ください。
高校範囲内でこの積分を求積するのはなかなか難しそうに見えます。少なくとも原始関数は求まりそうにありません。(実際被積分関数の原始関数には対数積分が登場し、高校範囲を超えます)
しかし、実はこの積分はギリギリ高校範囲内で求積することができます。鍵となるのは以下の補題、Feynman techniqueです。
関数f(x,y)がyについて偏微分可能で、偏導関数が連続なら
この補題を使うと先ほどの問題を以下のように解くことができます。
となる(ここでFeynman techniqueを用いた)ので、これをmについて積分して
I(0)=0からC=0が分かるので、
である。
これがFeynman techniqueの力です。被積分関数の偏導関数の積分を経由する事で元の関数の原始関数と対峙することを回避しています。
ただし、この例では元々被積分関数にパラメータが含まれるのでそのパラメータについて微分すれば良かったのですが、発展的な使用例では被積分関数にパラメータを導入してそのパラメータについて微分する、という手法が求められることもあります。
また、意外と使える条件が狭い点にも注意が必要です。Feynman techniqueがうまくいくには以下のような条件が要求されます。
①被積分関数fがパラメータtを持つ、またはうまいパラメータを導入できる
②fのtについての偏導関数が連続である
③fのtについての偏導関数のxについての積分が求まる
④fのtについての偏導関数のxについての積分のtについての原始関数が求まる
⑤元の積分を直接求積できるパラメータが(1つでも)存在する
Feynman techniqueを使えそうに見える形でも④や⑤で詰まるパターンは多いです。また、①のパラメータ導入が難しいパターンもあります(例えばガウス積分
とはいえ、ハマった時の爆発力は絶大で、原始関数がおぞましい特殊関数の塊になるような定積分を初等的に求積できることもあります。
では、良い積分ライフを。