どうも,∃数学徒です.いまから,二つの数列をお見せします.どちらの方が"収束しやすそう"だと思いますか?
$$
\lbrace a_{n} \rbrace = \lbrace 0,1,0,1,0,,, \rbrace
\lbrace b_{n} \rbrace = \lbrace 0,2,-2,4,-4,6,-6,8,-8,,, \rbrace
$$
もちろんどちらも振動列なので収束しやすそうなどという言葉を使うのはおかしいのですが,僕にはなんとなく$\lbrace a_{n} \rbrace$のほうが収束しやすそうだな〜という感覚があります.
この感覚を定式化する話です.つまり,一般に使われている数学用語ではなく,僕が勝手に何か言ってるだけです.
目次
1,チェザロ操作を定義する
2,数列の収束しやすさを定義する
3,諸予想
1,チェザロ操作を定義する
$\lbrace a_n,k \rbrace$を実数列とする.(正整数kによって数列が一つ決まるみたいな感覚で見てください)$\lbrace a_n,k \rbrace$にチェザロ操作をした数列$\lbrace a_n,k+1 \rbrace$を以下で与える.
$a_{n,k+1} = \sum_{i=1}^{n} \frac{a_{i,k}}
{n} $
要するに数列にチェザロ操作をするというのは元の数列の第i項までの平均を取ったものを第i項とする数列をつくるということです.
例として冒頭の数列$\lbrace a_{n} \rbrace$にチェザロ操作をすると$\lbrace 0, \frac{1}{2},\frac{1}{3},\frac{1}{2},,,\rbrace $という数列が出来ます.そしてこれは$\frac{1}{2}$に収束する数列です.このように,収束列でない数列もチェザロ操作をすれば収束列になることがあります.収束列にチェザロ操作をすると同じ値に収束する収束列になることと,発散列にチェザロ操作をしても発散列であることを考えると収束列になるために必要なチェザロ操作の回数が少なければ少ないほど収束しやすいと考えられそうです.(斜体で書いたところはチェザロ平均の性質から直ちに分かります.気になったら調べてみてください)
2,数列の収束しやすさを定義する
1,収束列は0-級非収束
2,n回チェザロ操作をして初めて収束列になる数列はn-級非収束
3,有限回のチェザロ操作で収束列にならない数列は∞-級非収束
2より1の方が,3より2の方が収束しやすいという感覚です.3は結構微妙な定義ですがここでは単に有限でないという意味で無限という言葉を使っています.
3,諸予想
conj1,ある自然数nを用いてn-級非収束といわれる数列は振動列
conj2,{$a_{n}$}が∞-級非収束⇒{$a_{n}$}は発散列
conj3,有界数列は有限回のチェザロ操作で収束列になる
上極限と下極限が発散する数列であって有限回のチェザロ操作で収束する数列の例を見せましょう.
数列{0,2,-2,4,-4,6,-6,,,}にチェザロ操作をすると{0,1,0,1,0,1,0,,,}となるのでもう一度チェザロ操作をすると収束列になる.
この例はチェザロ操作の逆の操作をして得たものです.この操作をつかえばconj1などは解けそうです.
読んでくれてありがとうございました.