今回の記事は線型代数学の教科書を眺めていてふと思った次の事柄についてです:
ジョルダン標準形の存在というのは,行列の集合を図形と考えたときのパラメータ表示の全射性を意味しているのではないか?
この考えに基づいて何か面白いことはできないかと思い,とりあえず一つの具体例を考えてみました。
早速ですが,複素数を成分に持つ
このとき,固有多項式
が得られます。(これにより,
このような
そうすると,
となるような正則行列
ここで,天下り的ではありますが,基底の変換行列が
実際に計算すると,
ですね。
これで曲面
を解きます。
実際に計算すると,
となりますが,これは確かに
を満たします。
(代入して計算すれば確かめられますが,分母がゼロになるのを避けるために
以上の議論から分かったことを定理としてまとめると次のようになります。
二つの集合
を考える。
このとき,以下の写像は互いに逆写像の関係にある:
次に,楕円錐面
曲面
と置くと,これは
逆の対応は
によって与えられます。
これも定理としてまとめておきましょう。
二つの集合
を考える。
このとき,以下の写像は互いに逆写像の関係にある:
さて,ここから先は余談です。
まず,楕円錐面
これについて,パラメータ表示
が得られているわけです。
ここで,
そうすると,パラメータ表示は
という有名な形に一致します。
(
以上で,今回のお話は終わりです。
最後まで記事を読んで頂き,ありがとうございました。