自己紹介で書きたいと言っていた関数方程式について喋っていこうと思います。
解説を書くのは今回が初めてなので至らないところが多々あると思いますがご了承ください。
<(_ _)>
綺麗な式なので見つかっていたらすみません。
考えてみたい方のためにネタバレ防止を設置しておきます。
関数$f: \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} $を連続関数とする。$f$は任意の実数$x,y $に対して以下を満たす。$f $としてありうるものを全て求めよ。
$f(f(x)+f(y))=f(x+y)+x+y\quad\cdots (*) $
ネタバレ防止
. ∧,,∧ きゅっ
(´・ω・)
⊂ノ ニつ
(`(´ ノ
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メタ的に考えて関数方程式の解としてありがちなのが一次関数です。
試しに、$f(x)=ax+b$を与式に代入してみましょう。
$(\text{左辺})=f(f(x)+f(y))=f(ax+b+ay+b)=a^2(x+y)+2ab+b\\$ $
(\text{右辺})=f(x+y)+x+y=a(x+y)+x+y+b$
∴$a^2(x+y)+2ab=a(x+y)+x+y$
$x=y=0$を今出た式に代入してみると$ab=0$がわかります。
$a=0$とすると$0=x+y\,\,( \forall{x,y \in \mathbb{R} } )$となり矛盾するので$b=0$として考えてみます。$b=0$を代入することで
$ a^2(x+y)=a(x+y)+x+y$
を得ます。
この式が任意実数$x,y$で成り立つには$a^2-a-1=0$が成り立つ必要があるのでこれを解くと$ (*)$を満たす$f$として、$f(x)=\frac{1\pm \sqrt{5}}{2}x$という2つの解を見つけることが出来ました。
というわけで、予想としては次のことが成り立ちそうです。
$(*)$を満たす$f$としてありうるものは、$f(x)=\frac{1\pm \sqrt{5}}{2}x$のみである。
これを証明していきます。
関数方程式の解答は命題を沢山書き出す形式を採用してみました。
以下$(*)$への代入を$P(x,y)$とします。
$f$は単射.
ある$a,b \in \mathbb{R} $が存在して,$f(a)=f(b)$が成り立つと仮定する。$\\$
$P(a,0) \Longrightarrow f(f(a))=f(a)+a$
$P(b,0) \Longrightarrow f(f(b))=f(b)+b$
より、仮定から$a=b$を得るので示された。
$f(0)=0$.
$P(0,0) \Longrightarrow f(2f(0))=f(0)$
$f$は単射なので
$ \therefore 2f(0)=0$
$ \therefore f(0)=0$
$f(-x)=-f(x)$.
$P(x,-x) \Longrightarrow f(f(x)+f(-x))=f(0)$
単射性より、
$ \therefore f(x)+f(-x)=0$
よって示された。
$f(nx)=nf(x)\,\, (\forall{n \in \mathbb{Z} }) $.
ここが一番難しかったです。$f$の線形性に着目できていたらもっと早く気づけたかもしれません。
命題2,3より$n$が自然数の場合のみ示せばよい。
数学的帰納法を用いる。
[1]$n=1$のとき明らかに成り立つ。
[2]$n=k$のとき$f(kx)=kf(x)$が成り立つと仮定する。
$P(kx,x) \Longrightarrow (左辺)=f(f(kx)+f(x))=f((k+1)f(x))=f((k+1)x)+(k+1)x=(右辺)$
$P((k+1)x,0) \Longrightarrow (左辺)=f(f((k+1)x))+=f((k+1)x)+(k+1)x=(右辺)$
単射性から,
$$
\therefore (k+1)f(x)=f((k+1)x)
$$
よって、数学的帰納法より全ての自然数$n$で成り立つので示された。
$f(qx)=qf(x)\,\,\,( \forall{q} \in \mathbb{Q} )$
命題4の系です。
$q=\frac{m}{n}(m,n\text{は互いに素な整数})$
$\therefore{nf(\frac{m}{n}x)=f(mx)=mf(x)}$
$\therefore{f(\frac{m}{n}x)=\frac{m}{n}f(x)}$
$\therefore{f(qx)=qf(x)}$
$f(rx)=rf(x)\,\,\,( \forall{r} \in \mathbb{R} )$
少々大学数学の知識が必要になります。ご了承ください。
有理数列$(r_n)_{n \in \mathbb{N} }$を考える。$r_n$を次のように定義する。
$q_n$は単調増加,$r\coloneqq{\sup\lbrace{r_n\lvert{n\in \mathbb{N} }}\rbrace}$
このとき、実数の連続性公理により$\lim_{n \to \infty}r_n=r$が保証される。
命題5と$f$の連続性より、
$ \therefore f(rx)= \lim_{n \to \infty}f(r_{n}x) =\lim_{n \to \infty}r_{n}f(x)=rf(x) $
関数$f: \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} $を連続関数とする。$f$は任意の実数$x,y $に対して以下を満たす。$f $としてありうるものを全て求めよ。
$f(f(x)+f(y))=f(x+y)+x+y\quad\cdots (*) $
命題6より,$f(1)=c$とすれば
$f(x)=f(1\cdot{x})=f(1)\cdot{x}=cx$
これは必要条件なので元の式代入すると,
$ c^2(x+y)=c(x+y)+x+y$
と予想と同様の式を得るので求める$f$は
$f(x)=\frac{1\pm \sqrt{5}}{2}x$
のみである。
命題5,6はコーシーの関数方程式とほとんど同じ手順で証明していきました。今回は連続関数という仮定で解きましたが、他にも単調性や有界性を用いた議論でもコーシーと同様に関数を決定できそうです。
参考にしたサイト
【f(x+y)=f(x)+f(y)】コーシーの関数方程式 | 数学の景色