0
現代数学解説
文献あり

WhippleによるNearly-poised 4F3の変換公式

50
0

以下はWhippleによって1927年に示された公式である.

Nearly-poised 4F3の変換公式

n0以上の整数として,
0k(a,b,c,n)kk!(1+ab,1+ac,w)k=(wa)n(w)n0k(1+abc,1+aw,n)k(a)2kk!(1+ab,1+ac)k(1n+aw)2k
が成り立つ.

まず, Saalschützの和公式 より,
(b,c)k(1+ab,1+ac)k=0l(1+abc,a+k,k)ll!(1+ab,1+ac)l
であるから,
0k(a,b,c,n)kk!(1+ab,1+ac,w)k=0k(a,n)kk!(w)k0l(1+abc,a+k,k)ll!(1+ab,1+ac)l=0k,l(a)k+l(n)k(kl)!(w)k(1)l(1+abc)ll!(1+ab,1+ac)l=0l(1)l(1+abc)ll!(1+ab,1+ac)l0k(a)k+l(n)k(kl)!(w)k
ここで, Vandermondeの恒等式より,
0k(a)k+l(n)k(kl)!(w)k=(n)l(a)2l(w)l0k(a+2l,ln)kk!(w+l)k=(n)l(a)2l(w)l(wal)nl(w+l)nl=(wa)n(w)n(n)l(a)2l(wa+n)2l(wa)l=(wa)n(w)n(1)l(1+aw,n)l(a)2l(1n+aw)2l
だから,
0l(1)l(1+abc)ll!(1+ab,1+ac)l0k(a)k+l(n)k(kl)!(w)k=(wa)n(w)n0l(1+abc,1+aw,n)l(a)2ll!(1+ab,1+ac)l(1n+aw)2l
となって定理が示される.

(a)2k=22k(a2,a+12)kなどを用いて一般超幾何級数の記法で書き換えると, 上の定理は
4F3[a,b,c,n1+ab,1+ac,w;1]=(wa)n(w)n5F4[1+abc,1+aw,a2,a+12,n1+ab,1+ac,1n+aw2,2n+aw2;1]
と表すことができる.

特に, w=1+a+nの場合, 右辺の5F44F3になり, 以下が得られる.

n0以上の整数としたとき,
4F3[a,b,c,n1+ab,1+ac,1+a+n;1]=(1+n)n(1+a+n)n4F3[1+abc,a2,a+12,n1+ab,1+ac,12n;1]
が成り立つ.

定理1の一般化として次が成り立つ.

Nearly-poised 4F3の変換公式

a,dのいずれかが0以下の整数であるとき,
0k(a,b,c,d)kk!(1+ab,1+ac,w)k=Γ(w)Γ(wad)Γ(wa)Γ(wd)0k(1+abc,1+aw,d)k(a)2kk!(1+ab,1+ac)k(1+a+dw)2k
が成り立つ.

d0以下の整数のとき, 定理1である. 定理1においてm0以上の整数として, a=mとすると,
0k(m,b,c,n)kk!(1mb,1mc,w)k=(w+m)n(w)n0k(1mbc,1mw,n)k(m)2kk!(1mb,1mc)k(1nmw)2k=(w+n)m(w)m0k(1mbc,1mw,n)k(m)2kk!(1mb,1mc)k(1nmw)2k
よって, 両辺はnに関して多項式で全ての正の整数において一致するから, dの多項式として,
0k(m,b,c,d)kk!(1mb,1mc,w)k=(wd)m(w)m0k(1mbc,1mw,d)k(m)2kk!(1mb,1mc)k(1m+dw)2k
が成り立つ. よってa0以下の整数のときにも成り立つ.

参考文献

[1]
F. J. W. Whipple, Some transformations of generalized hypergeometric series, Proc. London Math. Soc., 1927, 257-272
投稿日:124
更新日:124
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

Wataru
Wataru
742
49616
超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中