いきなりですが……
定積分$\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} xe^{x^2}dx$を求めよ.
この問題は次のような感じで,簡単に解けます.
被積分関数$xe^{x^2}$は奇関数なので,求める積分値は0である.
余裕ですね.
そんなわけないです.極限の扱いには気を付けましょう.
杉浦1においては,次のように広義積分が定義されています.
$\mathbb{R}$の半開区間$I = [a,\, b)$ ($b = +\infty$でもよい)で定義された実数値関数$f$が次の(1),(2)を満たすとする.
このとき$f$は$I = [a,\, b)$で広義可積分であるといい,
$$\displaystyle \lim_{u \to b - 0} \int_a^u f(x) dx = \int_a^b f(x) dx$$
と書く.
半開区間$(a,\, b]$ ($a = -\infty$でもよい)上での広義積分も同様に定める.
$f : (a,\, b) \to \mathbb{R}$ ($a = -\infty$でもよいし,$b = +\infty$でもよいし,その両方でもよい)について,任意の$c \in (a,\, b)$に対し
$$\lim_{v \to a + 0} \int_v^c f(x) dx,\, \lim_{u \to b - 0} \int_c^b f(x) dx$$
が実数値として存在するとき,
$$\lim_{v \to a + 0,\, u \to b - 0} \int_v^u f(x) dx = \lim_{v \to a + 0} \int_v^c f(x) dx + \lim_{u \to b - 0} \int_c^b f(x) dx$$
と定め,これを$\displaystyle \int_a^b f(x) dx$と書く.
※本当はwell-defined性などを確かめるべきなのでしょうが,この記事では省略させていただきます.
$\displaystyle \lim_{u \to \infty} \int_0^{\infty} xe^{x^2} dx = \infty$なので,$\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} xe^{x^2} dx$は存在しません.
極限の扱いには気を付けましょう.