どうもこんにちは。初投稿のぶどう糖です。今回は私が参加している数学系OC「まったり数学部屋」においてとある人が問題を投下し、そこから発展した積分を解いていきます。今回解く積分は以下の通りです。
$\displaystyle I_n =\int_{n\pi}^{(n+1)\pi} \left|\frac{\sin(x)}{x} \right| \ dx ~~~~~(n\in \mathbb{N})$
それでは解法をつらつらと書いていこうと思います。
ある関数$f(x)$が区間$I~~(I\subset \mathbb{R}, I\ni0)$において$ C^{\infty} $級であり、かつ$\displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{f^{(n)}(\theta x)}{n!}x^n~~(0<\theta<1)$が0に収束するとき関数$f(x)$は以下のようにあらわせる。またこの変形は収束半径の中であれば厳密一致するという性質を持つ。
$${f(x) = \sum_{k=0}^{\infty}{\frac{f^{(k)}(0)}{k!}}x^k}$$
上記および$\sin(x),\frac{1}{x}$が$C^{\infty}$ であることから$ \frac{\sin(x)}{x}$も同様に$C^{\infty}$であることがわかり、$\displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{{(\frac{\sin(\theta x)}{\theta x}})^{(n)}}{n!}$も0に収束するので(?)、マクローリン展開が用いれる。
$${\displaystyle \int_{a}^{b}\sum_{k~=~0}^{\infty} g_k(x)dx = \sum_{k~=~0}^{\infty}\int_{a}^{b} g_k(x) dx}$$
となるためには$ \displaystyle\sum_{k~=~0}^{N} g_k(x)$が一様収束することが十分である。
あるマクローリン展開可能な関数$f(x)$は収束半径内で一様収束する
上記の定理より積分と総和が交換可能であるため、下記のように項別積分できる。
$\displaystyle \sum_{k=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n+k}}{(2k+1)!}\int_{n\pi}^{(n+1)\pi}x^{2k}dx~~=~~\sum_{k=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n+k}\pi^{2k}(\pi-1)}{(2k+1)^2(2k)!}\sum_{i=1}^{2k+1} {}_{2k+1}C_i$
$(-1)^{n+k}$の指数のnは絶対値記号を外すためのものである
ゆえに答えが導きだされた。(これ以上綺麗な変形があればお願いします。)
$\displaystyle \int_{n\pi}^{(n+1)\pi} \left| \frac{\sin(x)}{x} \right| \ dx = \sum_{k=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n+k}}{(2k+1)!}\int_{n\pi}^{(n+1)\pi}x^{2k}dx~~=~~\sum_{k=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n+k}\pi^{2k}(\pi-1)}{(2k+1)^2(2k)!}\sum_{i=1}^{2k+1} {}_{2k+1}C_i~~~~~(n\in \mathbb{N})$
$\displaystyle \mathcal{S}(x) := \int_0^{x}\frac{\sin(t))}{t} dt$
こんな夢のような関数があるんだなぁ(まぁ多くの場合において計算が難しいからなんだろうけど。)
$\displaystyle I_n=\int_{n\pi}^{(n+1)\pi} \left|\frac{\sin(x)}{x}\right|dx = (-1)^n\lbrace {\mathcal{S}((n+1)\pi))-\mathcal{S}(n\pi)} \rbrace$
終わり。
============================================================
編集履歴
23/11/18 表記ミスを修正。 別解を追加。