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東大数理院試過去問解答例(2012A05)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2012A05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです

2012A05

位相空間$X$に対し、次の主張を考える。

  1. $X$の連結閉部分集合の為す広義単調減少列$\{F_n\}_{n=0}^\infty$を任意に取ったとき、$F:=\bigcap_{n=1}^\infty F_n$は連結であるか空である。

以下の問いに解答しなさい。

  1. $X$がコンパクトハウスドルフ空間のとき、主張(i)が真であることを示しなさい。
  2. 主張(i)が偽であるようなハウスドルフ空間$X$の例を一つ挙げなさい。
  3. 主張(i)が偽であるようなコンパクト空間$X$の例を一つ挙げなさい。
  1. $F=F_1\sqcup F_2$を互いに素な閉集合による被覆とする。コンパクトハウスドルフ空間は正規空間なので、$X$の開集合$U_1$及び$U_2$$F_i\subseteq U_i$かつ$U_1\cap U_2=\varnothing$であるようなものを取ることができる。ここで開集合による上昇列$\{V_n\}_{n=1}^\infty$$V_n:=X\backslash F_n$によって定めると、$\{V_n\}\cup\{U_1,U_2\}$$X$の開被覆を為しており、$X$のコンパクト性から有限部分被覆を持つ。$\{V_n\}$は上昇列であることを考慮すると、$X$はある$V_k$$U_1,U_2$で被覆できる。特にこの$k$に対して$F_k\subseteq U_1\cup U_2$が満たされていて、$F_k$の連結性から$F_k\subseteq U_1$$F_k\subseteq U_2$のいずれかが満たされている。しかしこれは$F_k\cap U_2=\varnothing$$F_k\cap U_1=\varnothing$であることを意味し、これによって$F_2=\varnothing$$F_1=\varnothing$のいずれかが成り立つことがわかる。よって(i)が示せた。
  2. ${\color{red}X=\mathbb{R}^2}$とする。但し位相は通常のユークリッド位相とする。まず
    $$ U_n:=\left(-1,1\right)\times(-n,n) $$
    とおき、
    $$ F_n:=X\backslash U_n $$
    とおく。このとき$X$はハウスドルフであり、各$n$に対して$F_n$は連結閉集合で$F_n\supseteq F_{n+1}$を満たしていて、$F$は連結でない。よって$X$は所望の条件を満たすことがわかった。
  3. $S^1$とその点$a$をとる。二つの円を$S^1\backslash\{a\}$で貼り付けた図形を$X$とする。但し位相は自然な全射$\pi:S^1\sqcup S^1\to X$により$S^1\sqcup S^1$の通常の位相から誘導される位相を入れる。$S^1$の連結閉部分集合からなる降鎖列$\{C_n\}$
    $$ \bigcap_{n=1}^\infty C_n=\{a\} $$
    となるように取り、$F_n:=\pi(C_n\sqcup C_n)$とおく。このとき$X$はコンパクト空間の連続写像による像なのでコンパクトであり、各$n$に対して$F_n$は連結閉集合かつ$F_n\supseteq F_{n+1}$であり、$F$$S^1\sqcup\varnothing$$a$の像と$\varnothing\sqcup S^1$$a$の像からなる二点集合になりこの二点集合は連結でない。よって$X$が所望の条件を満たすことがわかった。
投稿日:3日前
更新日:3日前
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藍色日和
藍色日和
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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