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Double counting を用いた Laguerre 多項式の直交関係の証明

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Laguerre 多項式は以下のように定義されます.

Laguerre 多項式

非負整数nに対し,
Ln(x):=exdndxn(xnex)

Laguerre 多項式の係数は以下のように表されます.

Laguerre 多項式の係数による表示

Ln(x)=k=0n(1)k(n!)2(nk)!(k!)2xk

n階微分に対する Leibniz 則により,
Ln(x)=exdndxn(xnex)=exk=0n(nk)dnkdxnk(xn)dkdxk(ex)=exk=0n(nk)xkn!k!(1)kex=k=0n(1)k(nk)n!k!xk=k=0n(1)k(n!)2(nk)!(k!)2xk

Laguerre 多項式は区間[0,)における重み関数exに関する直交多項式であり,以下の直交関係を満たすことが知られています.

Laguerre 多項式の直交関係

非負整数n,nに対し,
0Ln(x)Ln(x)exdx=(n!)2δnn
ただしδnnは Kronecker のδである.

定理2を証明する際,命題1で得た係数による表示から直接導出しようとすると,二項係数を含む複雑な和を計算する必要が生じますが,Double counting を用いると,この和を計算することができます.この方針で証明する方法を述べます.

X,Xを有限集合とし,n:=|X|,n:=|X|とおく.このとき,部分集合YX,YXの組(Y,Y)|Y|=|Y|を満たすものは(n+nn)個存在する.

A:={(Y,Y)YX,YX,|Y|=|Y|}B:={(Y,Y)YX,YX,|Y|+|Y|=n}
とおく.さらに,写像 F:AB,G:BA
F(Y,Y):=(XY,Y)G(Y,Y):=(XY,Y)
と定める.F,G は well-defined である.実際,(Y,Y)Aに対し|XY|+|Y|=|X||Y|+|Y|=|X|=nより(XY,Y)BであるからFは well-defined であり,(Y,Y)Bに対し|XY|=|X||Y|=n|Y|=|Y|より(XY,Y)AであるからGは well-defined である.

また,FG=idB,GF=idAであるから,F,Gは全単射であり,|A|=|B|である.

Bの元の個数はX,Xの元合計n+n個のうちn個選ぶ場合の数に等しいので,(n+nn)である.よって,|A|=(n+nn)である.

(定理2の証明)

0Ln(x)Ln(x)exdx=0(k=0n(1)k(n!)2(nk)!(k!)2xk)(l=0n(1)l(n!)2(nl)!(l!)2xl)exdx=k=0nl=0n(1)k+l(n!)2(n!)2(nk)!(k!)2(nl)!(l!)20xk+lexdx=k=0nl=0n(1)k+l(n!)2(n!)2(nk)!(k!)2(nl)!(l!)2(k+l)! =n!n!k=0nl=0n(1)k+ln!n!(k+l)!(nk)!(k!)2(nl)!(l!)2=n!n!k=0nl=0n(1)k+l(nk)(nl)(k+lk)
である.

ここで,A:={1,2,,n},A:={1,2,,n}とおき,部分集合BA,BAの組(B,B)であって,|B|=|B|,AB=,AB=を満たすものの個数を考える.条件を満たす組はn=nのときは(A,A)のみであり,nnのときは存在しないので,δnn通りである.

包除原理により,等式
δnn=CACA(1)|C|+|C||{(B,B)BAC,BAC,|B|=|B|}|
が成り立つ.ここで,右辺について補題3より,
δnn=CACA(1)|C|+|C|(|AC|+|AC||AC|)=CACA(1)|C|+|C|((n|C|)+(n|C|)n|C|)
(1)|C|+|C|((n|C|)+(n|C|)n|C|)|C|,|C|のみに依存するため,k:=n|C|,l:=n|C|とおくと,
δnn=k=0nl=0n(1)(nk)+(nl)(nk)(nl)(k+lk)=(1)n+nk=0nl=0n(1)k+l(nk)(nl)(k+lk)
したがって,
0Ln(x)Ln(x)exdx=n!n!(1)n+nδnn=(n!)2δnn
を得る.

投稿日:33
更新日:34
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