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大学数学基礎解説
文献あり

「数学オリンピックチャンピオンの美しい解き方」に出てくる、代数の練習問題その1

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「数学オリンピックチャンピオンの美しい解き方」に出てくる、代数の練習問題その1

前置き

分かりやすいように中括弧をわざと用いた。
真似してもよいが、あまりよい書き方でない可能性がある。自己責任でどうぞ。

問題

練習問題3.4

fは非負実数で定義され、以下の条件(a)、(b)、(c)を満たすような、非負実数値をとる関数とする。
(a)全ての負でないx,yに対してf(xf(y))f(y)=f(x+y)
(b)f(2)=0
(c)f(x)0
このような関数fを全て求めよ。存在しない場合はそれを示せ。
ヒントは省略。

解答(本には載ってません)

f(y)=s
sf(sx)=f(x+y)
f(sx)=1sf(x+y)
x1変化した時
f(s(x+1))=1sf(x+y+1)
この式は、左辺の入力の変数がs変化した時に、右辺のf(x+y)f(x+y+1)に変化した時の変化量が
f(x+y+1)f(x+y)1/s倍であることを示している。
同じように、f(s(x+n+1))f(s(x+n))=1s{f(x+y+n+1)f(x+y+n)}

これは入力、出力共に非負実数であり、(それは関係ないが)xsという一定の値変化する度に、1s{f(a+1)f(a)}という、1sされたf(a)が出てくる。
つまり、y=1sxという関数で、
ys変化させると、1sxが必ず1変化するようなものである。
要するに、(既出のyではないが)
yが定数変化した時に右辺のxが定数変化する式というのは、xyの式では一次式しか存在しない。
更に、
f(sx)=1sf(x+y)
(再掲)
この式は微分できる。
sxに関して定数なので、外に出せる。xで微分して
sf(x)=1sf(x+y)
sb=1scs^2b=cxbxf(x)\therefore f(x)=cx+CCは積分定数) ##訂正風解説 左辺はf(x)f(x)f(x)=0bx=cx+Cdx=Cx=C/d xが定数になってしまった。 この結果が数学的にどのような意味を持つのか、私には分からない。いや、多分分かった。 丁寧に解いたというより、方程式には二つの変数が必要なのに、微分方程式を簡単に解こうとしすぎて、変数を消滅させてしまった。 というか、もっと微分方程式をちゃんと書いた方がいいようだ。諸兄はどう書くか分かっていることだろう。 わざわざ難しく書く気が起きない。怠惰な私。 間違いに気付くことは容易にできた。諸兄はこんな間違いをしないように。 微分って難しいんだな、というのが感想だ。 ##収束 (b)の条件より f(2)=2c=0\therefore C=2cf(x)=c(x+2)f(y)f(y)f(x)$より求まる。」 と書いて、証明は終わった。 Q. E. D. ■

参考文献

[1]
テレンス・タオ, 数学オリンピックチャンピオンの美しい解き方, 青土社, 2022, 82
投稿日:2023510
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  1. 「数学オリンピックチャンピオンの美しい解き方」に出てくる、代数の練習問題その1
  2. 前置き
  3. 問題
  4. 解答(本には載ってません)
  5. 参考文献