だいたいmathlogは$\LaTeX$と同じように書けるんだって.じゃあ書いていこうね.今日解く問題はこちら.
4次正方行列
\begin{align*}
A=\left(\begin{array}{cccc}
1&2&1&1\\
2&3&1&0\\
1&3&2&3\\
2&5&3&4
\end{array}\right)
\end{align*}
と,$A$の定める線形写像$f\colon \mathbb{R}^4\to \mathbb{R}^4,f(x)=Ax$について,ある4次正方行列$B$であって,$B$の定める線形写像$g\colon \mathbb{R}^4\to \mathbb{R}^4,g(x)=Bx$の核が$f$の像に一致するようなものを一つ求めよ.
元の問題はLINEのオープンチャットに投げられていた問題なので,もしどこかの大学で出された問題ならすいません.黙って消します.とりあえずどうしようか,$\ker g=\Ima f$を満たすような$g$を頑張って構成すればいいらしい.完全性だぁ~.でもこれは線形代数だしもっと素直に解いてあげようね.行列$B$の定める線形写像$g$が$\ker g=\Ima f$を満たすと仮定したときに,$B$が具体的にどう書けなければならないか,ということを考えてみる.
まず行列$A$を行基本変形してその$\rank$を求めてあげる.できたものがこちら.
\begin{align*}
A\to \left(\begin{array}{cccc}
1&0&-1&-3\\
0&1&1&2\\
0&0&0&0\\
0&0&0&0
\end{array}\right)
\end{align*}
なんか数式が全体的に左に偏ってる.思想?違うか…….とりあえず$\dim \Ima f=2$になる.$\Ima f$の基底は$A$の列ベクトルを適当に二つ選んであげればいいけれど,あとでどうせ「$\Ima f$の基底を$B$で送って$0$になる」という条件を使って計算することになるから,なるべく基底は簡単な方がいいね.$A$を列基本変形してより簡単な$\Ima f$の基底を構成します.変形したものがこちら.
\begin{align*} A\to \left(\begin{array}{cccc} 1&0&0&0\\ 0&-1&0&0\\ 3&1&0&0\\ 4&1&0&0 \end{array}\right) \end{align*}
だから$\Ima f$の基底として$(1,0,3,4){}^t,(0,-1,1,1){}^t$が取れてくれる.いま$\ker g=\Ima f$って仮定してたから$\ker g$の次元も2になってくれて,次元定理から$\Ima g=2$となる.つまり行列$B$は「$\rank$が2であって$\mathbb{R}^4$の元$(1,0,3,4){}^t,(0,-1,1,1){}^t$を左から作用させて$0$にするようなもの」を考えてあげればよいと分かる.うお,これならいけそう.行列$B$の第$1$行目の成分を$(b_1,b_2,b_3,b_4)$とおくと,$b_1,b_2,b_3,b_4$は次の連立方程式を満たす必要がある.
\begin{align*}
\begin{cases}
b_{1}+3b_{3}+4b_{4}=0\\
-b_{2}+b_{3}+b_{4}=0
\end{cases}
\end{align*}
$s,t$を実数として,$b_3=s,b_4=t$とおけば$b_1=-3s-4t,b_2=s+t$となるから,結局行列$B$は$s_i,t_i\in \mathbb{R}\ (i=1,2,3,4)$を用いて次のように書けなければならない.
\begin{align*}
B=\left(\begin{array}{cccc}
-3s_1-4t_1&s_1+t_1&s_1&t_1\\
-3s_2-4t_2&s_2+t_2&s_2&t_2\\
-3s_3-4t_3&s_3+t_3&s_3&t_3\\
-3s_4-4t_4&s_4+t_4&s_4&t_4
\end{array}\right)
\end{align*}
ここまでが「$\mathbb{R}^4$の元$(1,0,3,4){}^t,(0,-1,1,1){}^t$を左から作用させて$0$にするようなもの」という条件から出てくる行列$B$の条件.あとは行列$B$の$\rank$が2という条件を使ってあげよう! ぶっちゃけここまで来たら適当に数字入れてあげればいいし,そんな難しくない.例えば
\begin{align*}
(s_1,s_2,s_3,s_4)=(1,2,0,0),(t_1,t_2,t_3,t_4)=(2,1,0,0)
\end{align*}
っておけば
\begin{align*}
B=\left(\begin{array}{cccc}
-11&3&1&2\\
-10&3&2&1\\
0&0&0&0\\
0&0&0&0
\end{array}\right)
\end{align*}
ってなる.この行列の$\rank$が$2$になることはすぐ分かるし,まぁ良さそう.じゃああとは本当に$\ker g=\Ima f$となるかどうかだけど,$B$の定め方から$g\circ f=0$になるので$\Ima f\subset \ker g$が成り立って,$\dim \ker g=\dim \Ima f=2$だから逆の包含も分かる.えら~い.