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現代数学解説
文献あり

Ramanujanの2つの公式のBaileyによる一般化

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前回の記事で示した2つの等式は, Baileyによってさらに一般化されている.

Bailey(1952)

nZ(aqn(1aqn)2bqn(1bqn)2)=a(ab,q/ab,b/a,aq/b;q)(q;q)4(a,q/a,b,q/b;q)2

Baileyの6ψ6和公式 より,
(abq,bq/a,aq/b,q,q,q,q,q/ab;q)(bq,bq,aq,aq,q/a,q/a,q/b,q/b;q)=6ψ6[abq,abq,a,a,b,bab,ab,bq,bq,aq,aq;q]=(1a)2(1b)21abnZ1abq2n(1aqn)2(1bqn)2qn=(1a)2(1b)2(ab)(1ab)nZ(aqn(1aqn)2bqn(1bqn)2)
より,
nZ(aqn(1aqn)2bqn(1bqn)2)=a(ab,q/ab,b/a,aq/b;q)(q;q)4(a,q/a,b,q/b;q)2
を得る.

実は上の等式は, 本質的にWeierstrassの楕円関数に関する等式
(v)(u)=σ(uv)σ(u+v)σ(u)2σ(v)2
と同値である. このような等式が楕円関数論によらずに示されるのは興味深いかもしれない.

定理1において, aq,bq2,qq5とすることによって以下を得る.

q(q5;q5)5(q;q)=0n(q5n+1(1q5n+1)2q5n+2(1q5n+2)2q5n+3(1q5n+3)2+q5n+4(1q5n+4)2)

また, 定理1において, ω:=e2πi5として, aω,bω2とすると,
nZaqn(1aqn)2=a(1a)2+0<n(aqn(1aqn)2+a1qn(1a1qn)2)=a(1a)2+0<n,mm(am+am)qmn=a(1a)2+m=1m(am+am)qm1qm
となることから,
ω(1ω3)(1ω)(1ω)2(1ω2)20<n(1qn)51q5n=ω(1ω)2ω2(1ω2)2+0<mmqm1qm(ωm+ω4mω2mω3m)=ω(1ω2)(1ω)(1ω)2(1ω2)2+0<mmqmωm(1ωm)(1ω2m)1qm
ここで, A:=ω(1ω)(1ω2)とすると, ωm(1ωm)(1ω2m)m5n,5n+1,5n+2,5n+3,5n+4のとき,
0,A,A,A,A
となる. よってこれを整理すれば以下を得る.

(q;q)5(q5;q5)=150n((5n+1)q5n+11q5n+1(5n+2)q5n+21q5n+2(5n+3)q5n+31q5n+3+(5n+4)q5n+41q5n+4)

両辺をbaで割って, baの極限を考えることによって, 以下の系が得られる.

a(1+a)(1a)3+0<nn2qn1qn(anan)=a(a2,q/a2;q)(q;q)6(a,q/a;q)4

参考文献

[1]
W. N. Bailey, A further note on two of Ramanujan's formulae., Quart. J. Math. Oxford Ser. (2), 1952, 158-160
投稿日:225
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Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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