前回の記事で示した2つの等式は, Baileyによってさらに一般化されている.
∑n∈Z(aqn(1−aqn)2−bqn(1−bqn)2)=a(ab,q/ab,b/a,aq/b;q)∞(q;q)∞4(a,q/a,b,q/b;q)∞2
Baileyの6ψ6和公式 より,(abq,bq/a,aq/b,q,q,q,q,q/ab;q)∞(bq,bq,aq,aq,q/a,q/a,q/b,q/b;q)∞=6ψ6[abq,−abq,a,a,b,bab,−ab,bq,bq,aq,aq;q]=(1−a)2(1−b)21−ab∑n∈Z1−abq2n(1−aqn)2(1−bqn)2qn=(1−a)2(1−b)2(a−b)(1−ab)∑n∈Z(aqn(1−aqn)2−bqn(1−bqn)2)より,∑n∈Z(aqn(1−aqn)2−bqn(1−bqn)2)=a(ab,q/ab,b/a,aq/b;q)∞(q;q)∞4(a,q/a,b,q/b;q)∞2を得る.
実は上の等式は, 本質的にWeierstrassの楕円関数に関する等式℘(v)−℘(u)=σ(u−v)σ(u+v)σ(u)2σ(v)2と同値である. このような等式が楕円関数論によらずに示されるのは興味深いかもしれない.
定理1において, a↦q,b↦q2,q↦q5とすることによって以下を得る.
q(q5;q5)∞5(q;q)∞=∑0≤n(q5n+1(1−q5n+1)2−q5n+2(1−q5n+2)2−q5n+3(1−q5n+3)2+q5n+4(1−q5n+4)2)
また, 定理1において, ω:=e2πi5として, a↦ω,b↦ω2とすると,∑n∈Zaqn(1−aqn)2=a(1−a)2+∑0<n(aqn(1−aqn)2+a−1qn(1−a−1qn)2)=a(1−a)2+∑0<n,mm(am+a−m)qmn=a(1−a)2+∑m=1m(am+a−m)qm1−qmとなることから,ω(1−ω3)(1−ω)(1−ω)2(1−ω2)2∏0<n(1−qn)51−q5n=ω(1−ω)2−ω2(1−ω2)2+∑0<mmqm1−qm(ωm+ω4m−ω2m−ω3m)=ω(1−ω2)(1−ω)(1−ω)2(1−ω2)2+∑0<mmqmωm(1−ωm)(1−ω2m)1−qmここで, A:=ω(1−ω)(1−ω2)とすると, ωm(1−ωm)(1−ω2m)はmが5n,5n+1,5n+2,5n+3,5n+4のとき,0,A,−A,−A,Aとなる. よってこれを整理すれば以下を得る.
(q;q)5(q5;q5)∞=1−5∑0≤n((5n+1)q5n+11−q5n+1−(5n+2)q5n+21−q5n+2−(5n+3)q5n+31−q5n+3+(5n+4)q5n+41−q5n+4)
両辺をb−aで割って, b↦aの極限を考えることによって, 以下の系が得られる.
a(1+a)(1−a)3+∑0<nn2qn1−qn(an−a−n)=a(a2,q/a2;q)∞(q;q)∞6(a,q/a;q)∞4
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