ここでは東大数理の修士課程の院試の2014B08の解答例を解説していきます(ただし解説の都合で少し改変してあります)。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2014B08(改)
正整数についてとおく。ここで次元球面上の同値関係を
を満たすこととして定める。ここで自然な商写像及びを考える。
- 整係数ホモロジー群を求めなさい。
- のとき、連続写像で、であるようなものは存在しないことを示しなさい。
- まずは次元球面である。まずが偶数であったとする。このとき上の点及びが同値であるための条件はを満たすことである。よってであり、これによって
がわかる。一方が奇数のときはと同相であるから、
である。 - まずはレンズ空間であるから、そのホモロジー群は
である。ここであるで、が
恒等写像になるようなものが存在したとすると、このとき
も恒等写像になるが、である一方であるから、このようなことは起こり得ない。よって所望のは存在しない。