このノートでは、q-modular形式の定義について考える。はじめに普通のモジュラー形式の定義を復習し、重要な
そしてリー代数構造のq類似を考えることで
本稿執筆段階では定義や解を構成できていないが、アイデアの共有を目的としている。
対称な流儀を用いる。
N項での打ち切り
保型形式の定義を思い出す。
(1)
(2) 正則性の条件(
ことをいう。
このことから、保型性は次の3条件に言い換えられる。
さて、リー群
つまり次のようにリー代数
これはsl2-tripleの表現である。これが満たす関係式は
である。メビウス変換と微分演算子に関する計算はすでにmathlogに書いている:aka
これはルートベクトルに関する鏡映変換に対応する自己同型でもある。
(まぁ正確には、局所冪零な作用になってないのでwell-def性は怪しいが、形式的にはかなり素性のよい演算子である)
そして、
偶数ウェイト
(なお、奇数ウェイトの場合、モジュラー形式はゼロのみとなるのでつまらない。)
以上のリー代数構造のq類似としてq-modular formを与える方程式を考える。
量子モジュラー形式のサーベイを参考に計算しているmur
現在、q-modular形式は明確な定義はないが、ここでは
表現の量子化は、
量子群の表現の満たす関係式は
である。
以下、
nak,saiを参考にした。
Cauchyの二項定理によれば、
のように並進移動のq類似が得られる。因子ごとに
量子群のmodule algebraを考察する際に、関数環が非可換化、変形されることを踏まえると、この場合も関数環に特殊な積を導入する必要があるかもしれない。しかし、module algは重さ0の場合でしか存在しない。(多分)
いずれにせよ、
上記のq類似の
もし上記の
後に記述するように、これは収束性が悪く、具体的な関数への作用を考えることの障壁となる。それが、今日までq-modularが定式化されていない理由だと考えている。量子群の発見自体が1980年ごろなので、まぁRamanujanは知らないだろうけど。
単に
q類似であるので、
(別のqと思えばよいのかもしれないが)
もう一つの方向性として、
これにより、
のように計算される。q二項係数に関して次の公式が成立する(と思う)
これを用いれば、有限和のケースを考えることができる。しかし、すべてを級数で計算すると、収束半径に問題が生じる。
のような級数が出る。しかし、
のような級数となる。2つの級数の収束域が
このあたりの計算は難しくないが、煩雑な計算を要するので、コンピュータに任せて解析したい所存である。通常のメビウス変換の場合は、
(これより上の項の計算結果ってどっかに載ってないのかな)
古典のsl2-tripleを
となる。(計算途中は面倒なので略)
古典的な保型形式に比べ、
という関数方程式を満たさなければならない。このように、
次の予想を立てた。
計算が複雑すぎて、コンピュータで実装できるまで放置しているが、次のような表現の理解が自分には足りていない。
量子群のAd表現は作用素的にはどのように解釈できるか?
今回もっとも伝えたかったのは、この組紐群作用の表現である。それは古典ケースの場合では、フーリエ変換や
q-Fourier変換は存在するか?
いくつか論文はヒットするが、量子群の表現の観点から説明するものにはまだ出会っていない。
q-Fourier変換の(q-)積分表示と微分演算子の表現との対応は?
q-Fourier変換の具体例は?
Poisson和公式のq類似はあるか?
Peter-Weyl定理との関連は?