ここでは東大数理の修士課程の院試の2022B08の解答例を解説していきます(ただし解説の都合で問題を少し改変しています)。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2022B08(改)
正の整数についての部分位相空間
を考える。
(1) が位相多様体になることとが同値であることを示せ。
(2) の整係数ホモロジー群を求めよ。
- まずとし、整数がを満たしているとする。このとき連続写像をで定義する。次に写像を
で定める。これは以外では連続である。一方とすると、ここで及びはあるを用いて及びと表せるから、はでに収束する。ここで及びはいずれも連続写像であり、一方は他方の逆写像を与えている。以上からであれば、はに同相である。また及び複素数についてはと同相な位相多様体になる。よって特に互いに素な及び任意の複素数についてはに同相になる。
次にとする。ここでの原始-乗根をとおくと、である。ここでのうちどの二つをとっても以外の共通部分を持たず、またたちはで交わっている。ここでが位相多様体であったとすると、の近傍を持ち、特に上の以外の点からの以外の点までを経由しない曲線が引けるが、これはたちが以外で交わらないことに矛盾する。よってこのときは位相多様体ではない。 - (1)の後半の議論からであり、前半の議論からはに同相である。または次元球面にホモトピー同値であるから、求めたいホモロジー群はの個の非交和のホモロジー群に等しい。以上から
がわかる。