こんにちは. ガロア理論の試験が近いので, ガロア群を求めてみました. めちゃくちゃ丁寧に書きました.
の上のガロア閉包をとするとき, を求め, の中間体を全て求めよ.
を求める
まず, の上最小多項式は
なので, となる.
明らかによりの上最小多項式はなので.
まただから, である.
実際にはは例えばとその倍の8つの元を上基底とする.
の元を決定する
とする.は上のの4根の置換を引き起こす.
ここでとみて, がのどちらの元であるかで場合分けする. ただしは複素共役をとる作用である.(はガロア拡大, 特に正規拡大なのでとなる.)
(1)のとき
より, が決まればは決定するが, これは4つの可能性しかない.
(2)のとき
同様に, が決まればは決定するが, 4つの可能性しかない.
以上により, として考えられるのは上の8つの可能性に限られる(この時点では8つ全て存在するかはわからない)が, であったので, この8つは全ての同型として存在することがわかる.
の群構造を調べる
の根をとおいて, これらの添字の置換とみての構造を調べる.
上のの一例として, 以下のような元をとる.
はと送るのででは巡回置換であり, を満たす.
はと送るのででは互換であり, を満たす.
さらにという関係式が成り立つ(各根を順に送ってみればよい)ので, と, 二面体群になる.
の部分群を全て求める
であり,よりとなることを用いて気合いで計算していく.
位数2の部分群
位数2の元を求めれば良い. 上の計算公式からとなるのはまたはであることがわかるので, の5つである.
位数4の部分群
と同型なもの
生成元を2乗すると位数2の元になる. 計算公式からこのようなものはしかない.
と同型なもの
生成元は位数2の元2つであり, 生成して全体にならないような組み合わせを探すことでとなる.
これらの部分群の包含関係は, 下図のようになる.
対応する不変体を求める
であったこと, の上基底はとその倍ととれることに注意する.
の不変体
なのでこの不変体のからの拡大次数はである.はにより不変なので, である. (実際, 拡大次数がとなっている.)
の不変体
はなどの計算によりを動かさないことがわかるので, 拡大次数がであることも併せて, である.
の不変体
より, はにより不変なので, 拡大次数も考慮して, である.
の不変体
これ以降は位数の部分群, 即ち不変体の拡大次数はである.
なので, はにより不変だから, である. (実際, 拡大次数がになっている.)
の不変体
なので, はにより不変で, 拡大次数も考慮してである.
の不変体
なので, はにより不変で, 拡大次数も考慮してである.
の不変体
なので, 簡単には不変な元が見つからないが, なので, とはで入れ替わる, 従ってこれらの和はで不変である. さらにこれをと書くことで, は拡大次数であり求める不変体だとわかる.
の不変体
なので, はで不変である. 拡大次数も考慮して, が求める不変体である.
中間体の図を描く
以上より, 各部分群に対応する中間体は以下のようになる.
ちなみにの正規部分群はなので, がガロア拡大となる中間体は, の4つである.
おわりに
お疲れ様でした!