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x^4-2=0のガロア群を求めてみる

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こんにちは. ガロア理論の試験が近いので, ガロア群を求めてみました. めちゃくちゃ丁寧に書きました.

L=Q(24)Q上のガロア閉包をFとするとき, Gal(F/Q)を求め, F/Qの中間体を全て求めよ.

[F:Q]を求める

まず, 24Q上最小多項式は
x42=(x24)(x124)(x+24)(x+124)
なので, F=Q(24,1)=(Q(24))(1)となる.
明らかに1Q(24)より1Q(24)上最小多項式はx2+1なので[F:Q(24)]=2.
また[Q(24):Q]=4だから, [F:Q]=8である.
実際にはFは例えば1,24,2,84とその1倍の8つの元をQ上基底とする.

Gal(F/Q)の元を決定する

σGal(F/Q)とする.σは上のx42の4根の置換を引き起こす.
ここでF=(Q(1))(24)とみて, σ|Q(1)Gal(Q(1)/Q)={id,ρ}のどちらの元であるかで場合分けする. ただしρは複素共役をとる作用である.(Q(1)/Qはガロア拡大, 特に正規拡大なのでσ|Q(1)Gal(Q(1)/Q)となる.)

(1)σ|Q(1)=idのとき

σ(1)=1より, σ(24)が決まればσは決定するが, これは4つの可能性しかない.

(2)σ|Q(1)=ρのとき

同様に, σ(24)が決まればσは決定するが, 4つの可能性しかない.

以上により, σとして考えられるのは上の8つの可能性に限られる(この時点では8つ全て存在するかはわからない)が, #Gal(F/Q)=[F:Q]=8であったので, この8つは全てFQ同型として存在することがわかる.

Gal(F/Q)の群構造を調べる

x42の根をα1=24,α2=124,α3=24,α4=124とおいて, これらの添字の置換とみてGal(F/Q)S4の構造を調べる.

上のσの一例として, 以下のような元σ,τGal(F/Q)をとる.
σ(1)=1,σ(24)=124τ(1)=1,τ(24)=24

σα1α2α3α4α1と送るのでS4では巡回置換(2341)であり, σ4=1を満たす.
τα2α4と送るのでS4では互換(24)であり, τ2=1を満たす.

さらにτστ1=σ1という関係式が成り立つ(各根を順に送ってみればよい)ので, Gal(F/Q){σ,τ|σ4=τ2=1,τστ1=σ1}=D4と, 二面体群になる.

Gal(F/Q)の部分群を全て求める

D4={σmτn|mZ/4Z,τZ/2Z}であり,τσ=σ1τより(σmτn)2=σm+(1)nmとなることを用いて気合いで計算していく.

位数2の部分群

位数2の元を求めれば良い. 上の計算公式から(σmτn)2=1となるのはn=1またはn=0,m=2であることがわかるので, τ,στ,σ2τ,σ3τ,σ2 の5つである.

位数4の部分群

Z/4Zと同型なもの

生成元を2乗すると位数2の元になる. 計算公式からこのようなものはσしかない.

(Z/2Z)2と同型なもの

生成元は位数2の元2つであり, 生成して全体にならないような組み合わせを探すことでσ2,τ,σ2,στとなる.

これらの部分群の包含関係は, 下図のようになる.

(位数)8D44σ2,τσσ2,στ2τσ2τσ2στσ3τ1{1}

対応する不変体を求める

σ(1)=1,σ(24)=124τ(1)=1,τ(24)=24
であったこと, FQ上基底は1,24,2,84とその1倍ととれることに注意する.

σの不変体

#σ=4なのでこの不変体MQからの拡大次数は2である.1σにより不変なので, M=Q(1)である. (実際, 拡大次数が2となっている.)

σ2,τの不変体

σ2,τσ2(2)=σ2(24)2=(24)2=2などの計算により2を動かさないことがわかるので, 拡大次数が2であることも併せて, Q(2)である.

σ2,στの不変体

σ2(1)=1,σ2(24)=24στ(1)=1,στ(24)=124
より, 2σ2,στにより不変なので, 拡大次数も考慮して, Q(2)である.

σ2の不変体

これ以降は位数2の部分群, 即ち不変体の拡大次数は4である.
σ2(1)=1,σ2(24)=24
なので, 1,2σ2により不変だから, Q(1,2)である. (実際, 拡大次数が4になっている.)

τの不変体

τ(1)=1,τ(24)=24
なので, 24τにより不変で, 拡大次数も考慮してQ(24)である.

σ2τの不変体

σ2τ(1)=1,σ2τ(24)=24
なので, 124τにより不変で, 拡大次数も考慮してQ(124)である.

στの不変体

στ(1)=1,στ(24)=124
なので, 簡単には不変な元が見つからないが, στ(124)=24なので, 24124στで入れ替わる, 従ってこれらの和(1+1)24στで不変である. さらにこれを(1+1)24=1+1284=84と書くことで, Q(84)は拡大次数4であり求める不変体だとわかる.

σ3τの不変体

σ3τ(1)=1,σ3τ(24)=124
なので, (11)24=24στで不変である. 拡大次数も考慮して, Q(24)が求める不変体である.

中間体の図を描く

以上より, 各部分群に対応する中間体は以下のようになる.

(位数)8D44σ2,τσσ2,στ2τσ2τσ2στσ3τ1{1}

(拡大次数)1Q2Q(2)Q(1)Q(2)4Q(24)Q(124)Q(1,2)Q(84)Q(24)8F

ちなみにD4の正規部分群はσ,σ2,τ,σ2,στ,σ2なので, M/Qがガロア拡大となる中間体Mは, Q(1),Q(2),Q(2),Q(1,2)の4つである.

おわりに

お疲れ様でした!

投稿日:2024115
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東大理数B4です

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