この記事はとあるオープンチャット 積分,級数の部屋 のGW mathlogリレーの2日目の記事です。
今回の記事を書くにあたってこの
本
を参考にしましたー
数学をあなたのポケットに!
$$\zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac1{n^s}\ \ \ \big(\mathrm{Re}(s)>1\big)$$
$s=1$では$1$位の極で、$\mathrm{Re}(s)<1$のときは解析接続により定義される。
解析接続については深くは触れず、とりあえず関数等式というものを示していきます。
$$\zeta(s)=2^s\pi^{s-1}\sin\frac{\pi s}2\Gamma(1-s)\zeta(1-s)$$
とある積分経路$C$をとってきます。
$\di f(z)=\frac{z^{s-1}}{e^z-1}$を周回積分します。
積分経路
真ん中の円は半径$2\pi$未満です。
虚軸上の×は$2\pi$ごとに並んでいます。
全体を一周する経路を$C$としています。
周回積分していきます。
周りの幅は無限大に飛ばすので特異点は全て入っているものとして計算しています。
周りをの経路は頑張って計算すると$0$になって、$C_2$も$0$になるので周回積分するには$C_1$と$C_3$を計算すればいいこととなります。
複素対数の知識を上手く使って計算すると
\begin{align}
\int_{C_1}+\int_{C_3}&=\big(1-e^{2\pi is}\big)\int_{0}^{\infty}\frac{x^{s-1}}{e^x-1}dx
\\&=\big(1-e^{2\pi is}\big)\Gamma(s)\zeta(s)
\end{align}
となります。
周回積分を留数定理を用いて計算していきます。
\begin{align}
\oint_{C}f(z)dz&=2\pi i\left(\sum_{n=1}^{\infty}\underset{z=2\pi i n}{\mathrm{Res}}f(z)+\sum_{n=1}^{\infty}\underset{z=-2\pi i n}{\mathrm{Res}}f(z)\right)
\\&=i2^{s+1}\pi^se^{\pi is}\sin\frac{\pi s}{2}\sum_{n=1}^{\infty}n^{s-1}
\\&=i2^{s+1}\pi^se^{\pi is}\sin\frac{\pi s}{2}\zeta(1-s)
\end{align}
よって、
$$\big(1-e^{2\pi is}\big)\Gamma(s)\zeta(s)=i2^{s+1}\pi^se^{\pi is}\sin\frac{\pi s}{2}\zeta(1-s)$$
整理することにより、題意を得る。
関数等式から、自然数$n$に対して$\zeta(-2n)=0$です、この零点のことを自明な零点といいます。
自明な零点でない零点のことを非自明な零点といい一般的には$\rho$で表す。
対称性が一目でみてわかるやつ作りたい!!!
$$\xi(s)=\frac{s(s-1)}2\Gamma\left(\frac{s}2\right)\pi^{-\frac{s}2}\zeta(s)$$
$$\xi(s)=\xi(1-s)$$
関数等式により題意を得る。
$\di\zeta(0)=-\frac12$から$\di\xi(0)=\frac12$を得る。
$\xi(s)$は$s=-2n$のときはガンマ関数の部分で極が打ち消しあいます。
よって、$\xi(s)$の零点は、$\zeta(s)$の非自明な零点です。
$\xi(s)$を無限乗積展開すると
$$\xi(s)=\frac12\prod_{\rho}\left(1-\frac{x}{\rho}\right)$$
表記は察してください。
非自明な零点は無限個あることが知られているので、無限乗積展開と表記しています。
$\zeta(s)$を無限乗積展開すると
$$\zeta(s)=\frac12\frac{\pi^{\frac{s}2}}{\Gamma\left(\frac{s}2\right)s(s-1)}\prod_{\rho}\left(1-\frac{x}{\rho}\right)$$
両辺の対数をとります
$$\log\zeta(s)=\frac12s\log\pi-\log2-\log\Gamma\left(\frac{s}2+1\right)-\log(s-1)+\sum_{\rho}\log\left(1-\frac{x}{\rho}\right)$$
あとあと使います。
$J(x)$を定義します。
$$\frac{\log\zeta(s)}{s}=\int_{1}^{\infty}J(x)x^{-s-1}dx$$
$J(x)$の表示を求めます。
$$J(x)=\frac1{2\pi i}\int_{a-i\infty}^{a+i\infty}\frac{\log\zeta(s)}{s}x^sds$$
$a>1$です。
$s=a+bi$とします。$(a,b\in\mathbb{R})$
\begin{align}
\int_{1}^{\infty}J(x)x^{-s-1}dx&=\int_{1}^{\infty}J(x)x^{-(a+bi)}\frac{dx}{x}
\\&=\int_1^{\infty}J(x)e^{-a\log x}e^{-ib\log x}\frac{dx}x
\\&=\int_{0}^{\infty}J\big(e^x\big)e^{-ax}e^{-ibx}dx
\\&=\int_{-\infty}^{\infty}J\big(e^x\big)e^{-ax}e^{-ibx}dx
\end{align}
ここでフーリエ変換とフーリエ逆変換を思い出します。
$$F(s)=\frac1{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}f(x)e^{-isx}dx$$
$$f(x)=\int_{-\infty}^{\infty}F(s)e^{isx}ds$$
$\di f(x)=2\pi J\big(e^x\big)e^{-ax}$とすると
$$\frac{\log\zeta(a+bi)}{a+bi}=\int_{-\infty}^{\infty}J\big(e^x\big)e^{-ax}e^{-ibx}dx$$
\begin{align}
2\pi J\big(e^x\big)e^{-ax}&=\int_{-\infty}^{\infty}\frac{\log\zeta(a+bi)}{a+bi}e^{ibx}db
\\ J\big(e^x\big)&=\frac1{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}\frac{\log\zeta(a+bi)}{a+bi}e^{(a+bi)x}db
\\&=\frac1{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}\frac{\log\zeta(s)}{s}e^{sx}ds
\end{align}
$s=a$を通る虚軸に平行な経路で積分したものに等しくなるので
$$J\big(e^x\big)=\frac1{2\pi i}\int_{a-i\infty}^{a+i\infty}\frac{\log\zeta(s)}{s}e^{sx}ds$$
\begin{align}
J(x)&=\frac1{2\pi i}\int_{a-i\infty}^{a+i\infty}\frac{\log\zeta(s)}{s}x^sds
\\&=-\frac1{2\pi i}\frac1{\log x}\int_{a-i\infty}^{a+i\infty}x^s\frac{d}{ds}\frac{\log\zeta(s)}{s}ds
\end{align}
先ほど得た$\log\zeta(s)$の表示と対数積分
$$\mathrm{li}(x)=\lim_{\ip\to0+}\left(\int_{0}^{1-\ip}\frac{dt}{\log t}+\int_{1+\ip}^{x}\frac{dt}{\log t}\right)$$
$$\mathrm{Li}(x)=\mathrm{li}(x)-\mathrm{li}(x)$$
を用いて頑張って計算すると
$$J(x)=-\log2+\int_x^\infty\frac{dt}{t\big(t^2-1\big)\log t}+\mathrm{Li}(x)-\sum_{\rho}\mathrm{Li}\big(x^{\rho}\big)$$
近似すると
$$J(x)\sim\mathrm{Li}(x)$$
を得る。
$\pi(x)$は$x$までの素数の個数+$\frac12$として定義します。
その方が連続だったり都合がいいからです。
$\pi(x)$と$J(x)$の関係として
$$J(x)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac1{n}\pi\big(x^{\frac1n}\big)$$
というものがあります。
ここから、
メビウス関数
を用いた表示
$$\pi(x)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\mu(n)}{n}J\big(x^{\frac1n}\big)$$
$J(x)$は$\mathrm{Li}(x)$と近似して、$2$項目までで打ち切って
$\di\pi(x)=\mathrm{Li}(x)-\frac12\mathrm{Li}\big(\sqrt{x}\big)$
を得ます。
これで$1000$以下の素数の個数を電卓に入れて計算させてみると
$170.86…$という値が返ってきました。
実際$\pi(1000)$は$168.5$なのでまあまあ精度はいいのかも。
以上、素数の電卓で求められて嬉しいというお話でした。
ああ、是非興味のある部屋は積分,級数の部屋に入ってみてくださいー