この記事ではヤコビの二平方定理・四平方定理
について解説していきます。
二平方定理・四平方定理とは自然数
として表すことに関する定理であり、最も有名なものとしてはフェルマーの二平方定理・ラグランジュの四平方定理があります。
自然数
を満たすような整数
任意の自然数
を満たすような整数
これらの定理は
という表現の存在性に関するものとなっていますが、より強くこのような表現の個数は次の公式によって明示的に求めることができます。
自然数
を満たすような整数の組
個存在する。
任意の自然数
を満たすような整数の組
個存在する。
この記事ではヤコビの示したこれらの定理についてヤコビによる証明とHirschhornによる証明について解説していきます。
ヤコビの二平方定理・四平方定理は
という級数の二乗・四乗を考えることで示されます。
実際この二乗・四乗は
と表せるので示すべき式は
となります。
しかし実際にヤコビが示した式は
というものでした。
これが上の式に一致することはランベルト級数に関する次の事実を用いることで確かめられます。
とわかる。
上の補題においてそれぞれ
とおくことでわかる。
また最後の等号については
に注意すると
とわかる。
では上のようなランベルト級数は一体どこから出てきたのでしょうか。
それにはヤコビの三重積が重要な役割を果たします。
例えばこの公式の右辺を
のようなランベルト級数が出てくることとなります。
では具体的にどのようにして
という式が導出されるのかを見ていくこととしましょう。
まず以下での議論を円滑にするために各種のテータ関数とその三重積についてまとめておこう。
特に
およびこのことから
がわかる。
ヤコビによる証明は
この記事
の定理4として紹介していたので、ここではその要点を解説するだけに留める。また実際にはヤコビの楕円関数を中心に議論が進められるが、ここではその議論をテータ関数に置き換えて考える。
ヤコビによる証明においてはテータ関数の楕円関数としての性質に着目することとなる(正確にはテータ関数が持つのは擬二重周期性であり、テータ関数同士の商を取ることで二重周期性が現れる)。具体的にはヤコビの楕円関数を経由することで次のような公式が示される。
またこの左辺を展開することで以下のランベルト級数が得られる。
に注意すると
が得られる。
同様に
より
を得る。
そしてこれの
および
に注意するとわかる。
ヤコビによる証明ではテータ関数の楕円関数としての性質から導かれる
といった高度な等式を用いていた。
しかし
を示すだけなら楕円関数という道具を持ち出す必要はなく、テータ関数やヤコビの三重積を巧みに変形することで導出することができる。
ここではHirschhornの論文"A simple proof of Jacobi's two/four-square theorem"による証明を見ていくこととしよう。
ちなみにHirschhornは
とおくと
が成り立つ。
とわかる。
ヤコビの三重積から
が成り立つことに注意すると
および
を得る。
補題11から
が成り立つので補題12より
つまり
を得る。
とおくと
より
が成り立つ。
したがって
を得る。
および
が成り立つことに注意すると補題14より
を得る。