直交座標と極座標の関係を以下のように定義します.
直交座標におけるラプラシアンを極座標に変換した形を求めるとき,次元の場合の変換を繰り返す導出が一般的ですが,ここでは回の変換でまとめて計算します.
階微分
連鎖律より,との間には以下のような関係が成り立ちます.
行列をとおきます.
をで表したいので,左からの逆行列をかけることを考えます.そのため,の成分を具体的に表し,より簡単な行列の積として書くことを考えます.
第行から,それぞれをくくり出します.行列の第行の各成分をそれぞれ倍する操作は,左からを掛ける操作と言い換えられます.
実は右側の行列は直交行列になっているのですが,ここではそれは用いずに,さらに分解を進めます.以下,簡単のためを仮定します.
第列の倍を第列に加え,の順に第列の倍を第列に加えます.列基本変形は,右から基本行列をかけることで表されます.成分は,成分はとなります.
第行の倍を第行に加え,の順に第行の倍を第行に加えます.行基本変形は,左から基本行列をかけることで表されます.
のとき,上の積に現れるそれぞれの行列は正則なので,その積であるも正則となります.逆行列は以下のようになります.
に対し,の順に第行の倍を第行に加え,第行の倍を第行に加えます.
第列に第列の倍を加えます.成分はとなります.
第列に第列の倍を加えます.成分はとなります.
これを繰り返し,第列に第列の倍を加えるまで進めます.
第列に第列の倍を加えます.成分はとなります.
第列の各成分をそれぞれ 倍します.
よって,以下が成り立ちます.
これをそれぞれの成分の式に書き直すと,以下のようになります.
階微分
として,を計算します.
左側の項をに分けて展開します.については,右側の項で添字がかぶらないように,をそれぞれに置き換えます.
積の微分に注意して,からをそれぞれ微分します.
- : 係数にが含まれないので,階偏微分は現れず,となります.
- : 係数に含まれるに依存する項はなので,となります.
- : 係数に含まれるに依存する項はなので,となります.
- : より,係数に含まれるに依存する項はです.なので,をで置き換えます.
- : 係数に含まれるに依存する項の形は,との大小関係により異なります.
- のとき,なので,係数に含まれるに依存する項はです.なので,をで置き換えます.
- のとき,係数に含まれるに依存する項はなので,となります.
- のとき,なので,係数に含まれるに依存する項はです.なので,をで置き換えます.
- : より,係数に含まれるに依存する項はです.なので,をで置き換えます.
- : 係数に含まれるに依存する項はなので,となります.
- : 係数に含まれるに依存する項はなので,となります.
- : 係数に含まれるに依存する項はなので,となります.
偏微分の種類ごとにまとめます.異なる変数に関する偏微分は交換してもよいとします.
偏微分の種類ごとに,係数を計算します.
の係数はとなります.
の係数はとなります.
の係数はとなります.
の係数はつの同じ項の和となっており,そのうちつは
なので,の係数はです.
の係数はつの同じ項の和となっており,そのうちつはなので,の係数はです.
の係数はつの同じ項の和となっており,そのうちつは
なので,の係数はです.
の係数はつの同じ項の和となっており,そのうちつは
なので,の係数はです.
の係数は
の係数は
の係数は
よって,以下の式を得ます.
階微分
を計算します.
左側の項をに分けて展開します.については,右側の項で添字がかぶらないように,をそれぞれに置き換えます.
偏微分の種類ごとに,係数を計算します.
の係数はとなります.
の係数はとなります.
の係数はつの同じ項の和となっており,そのうちつは
なので,の係数はです.
の係数はつの同じ項の和となっており,そのうちつは
なので,の係数はです.
の係数は
の係数は
よって,以下の式を得ます.
ラプラシアン
偏微分の種類ごとに,係数を計算します.
の係数は
の係数は
の係数は
の係数は
の係数は
の係数は
よって,以下の式を得ます.