以下の積分を計算します。
nを0以上の整数とするとき
∫0∞xne−xsinxdx=n!2n+1sinn+14π
∫0∞xne−xcosxdx=n!2n+1cosn+14π
まず広義積分が収束することを示す.∫01xne−xsinxdxはもちろん収束する.また,α>1としてlimx→∞xn+αe−xsinx=0なので,あるM>0があって,x≥1において
|xn+αe−xsinx|≤M (有界)となる.
|xne−xsinx|≤Mxαであり,広義積分∫1∞Mxαdxは収束するから,∫1∞xne−xsinxdxは絶対収束をする.
したがって,∫0∞xne−xsinxdxも絶対収束をする.
同様にcosxの方の積分も絶対収束することがわかる.
つぎに,具体的な計算に移る.
In=∫0∞xne−xcosxdx,Jn=∫0∞xne−xsinxdxとおく.オイラーの公式eix=cosx+isinxを用いると,
In+iJn=∫0∞xne−x⋅eixdx=∫0∞xne(−1+i)xdx
となる. これをKnと置き,n≥1で部分積分によって計算をすると
Kn=∫0∞xn(e(−1+i)x−1+i)′dx=[xne(−1+i)x−1+i]0∞−∫0∞(xn)′e(−1+i)x−1+idx=[xnex⋅eix(−1+i)]0∞+1+i2n∫0∞xn−1e(−1+i)xdx=n2eiπ4Kn−1
以上によりKn=n2eiπ4Kn−1(n≥1)という漸化式が得られるので,これを順次用いてKn=ein4π2nn!K0となる. (n=0でも成り立つ.)
ここでK0=∫0∞e(−1+i)xdx=eiπ42なので,結局Kn=ein+14π2n+1n!.
Kn実部と虚部を取ることで,In=n!2n+1cosn+14π,Jn=n!2n+1sinn+14π,つまり
がわかった.
Q.E.D.
結構キレイな結果となるので好きです。もっと文字を増やして、
∫0∞xme−nxsinkxdxや∫0∞xme−nxsinxkdxとかも計算重くなりますができそうです。
今後は今回のように積分計算の結果や群論、体論、ガロア理論のトピックに触れる記事を気まぐれで書けたらなと思っています。
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