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整数問題【Math4A-2026】

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$$$$

問題です

$p,q$を素数、$n$を正整数とします。以下の式を満たすような組$(n,p,q)$をすべて求めてください。
$$ p^q-(p^2)!+1=n^p$$

ネタバレ防止用

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解答編

まず、$p=2$であることは高度な知識を用いずに証明することができます。

$q=2$だと大小比較で詰むので、$q$は奇数です。$p$が奇数であるとします。このとき$n$は偶数です。

(i) $v_2(p^q+1)=v_2((p^2)!)$のとき
$v_2(p^q+1)=v_2(p+1)$なので、ルジャンドルの定理などから$v_2((p^2)!)>p$などが示せるので、$v_2(p+1)< p< v_2((p^2)!)$です。

(ii) そうでないとき
$p \leq \min(v_2(p^q+1),v_2((p^2)!))$が成り立ちますが、$v_2(p^q+1)=v_2(p+1)< p$なので矛盾です。

よって$p=2$に限られます。

すると、代わりに以下の問題を考える羽目になるのですが、これが結構難しい。

本質部分

$q$を素数、$n$を正整数とします。以下の式を満たすような組$(n,q)$をすべて求めてください。

$$ 2^q-23=n^2$$

$23$が絶妙で、合同式では決定打に至りません。$q$が奇数の場合にペル方程式の理論を持ち込もうとしても、「ある項が2冪である」という条件はなかなかに扱いにくい。

$2^q=(n+\sqrt{-23})(n-\sqrt{-23})$と書いてみました。うまく素因数分解できるとよいと思ったのですが、残念ながら$-23$の世界では一意な素因数分解ができない。

こういうときに、素因数分解の代わりに素イデアル分解を検討するとよいかもしれません。

やばい

正整数$(x,y)$が以下の式を満たすとき、$(x,y)=(5,3),(11,45)$である。

$$2^x-23=y^2$$

$x\geq 5$ であり $y$ は奇数であることはすぐにわかります。二次体とその整数環
$$ K=\mathbb{Q}(\sqrt{-23}) ,\qquad \mathcal{O}_K=\mathbb{Z}[\omega], \qquad \omega=\frac{1+\sqrt{-23}}{2}$$
を考えます。ここで$ \alpha=\frac{y+\sqrt{-23}}{2}\in\mathcal{O}_K $とおくと、$N(\alpha)=2^{x-2}$となり、よってイデアルについて
$$ (\alpha)(\overline{\alpha})=(2)^{x-2} $$
となります。右辺を素イデアル分解します。

$\omega$ の最小多項式は$ f(T)=T^2-T+6 $なので、$ f(T)\equiv T(T-1)\pmod 2 $となります。よって
$$ (2)=\mathfrak p\mathfrak q =(2,\omega)(2,\omega-1)$$
と分解されます。
また、$(\alpha)$$(\overline{\alpha})$ は互いに素です。したがって、素イデアル分解の一意性により、
$$ (\alpha)=\mathfrak p^{x-2} \quad \text{or}\quad \mathfrak q^{x-2}$$
です。
$$ \mathfrak p^3=(\omega-2), \qquad \mathfrak q^3=(\omega+1) $$
が計算により確認できます。ここで、$\mathfrak p$ は単項イデアルではないことが確認できるので、$(\alpha)$ が単項イデアルであることを踏まえると、$ 3\mid x-2 $ となります。したがって、ある正整数 $m$ を用いて$ x=3m+2 $となりますが、$m$が奇数であることも元の方程式での$\mod 3$から示せます。ここで、
$$ \beta=\omega+1=\frac{3+\sqrt{-23}}{2} $$
とします。$\mathfrak q^3=(\beta)$ なので、必要なら共役を取り、$ (\alpha)=(\beta^m) $とできます。
$\mathcal{O}_K$ の単元は $\pm1$ のみなので、$ \alpha=\pm\beta^m $またはその共役です。よって、

$$ \frac{\beta^m-\bar{\beta}^{m}} {\beta-\overline{\beta}} =\pm 1$$

となります。以下の補題2を用いると、$m=1,3$、つまり$x=5,11$なので、おわり。

これを踏まえると、問題1の答えは$(n,p,q)=(3,2,5),(45,2,11)$のみです。

がんばればできそう?

$\beta = \dfrac{3+\sqrt{-23}}{2}$とすると、正の奇数$m$に対して

$$ \frac{\beta^m-\bar{\beta}^{m}} {\beta-\overline{\beta}} =\pm 1 \Leftrightarrow m=1,3$$

左辺を$U_m$とおくと、
$$ U_0=0, \qquad U_1=1, \qquad U_{n+2}=3U_{n+1}-8U_n $$
となる。$m$ は奇数なので、$ U_m\equiv1\pmod 8 $であり、$U_m=1$ が従う。
ここで、
$$ A= \begin{pmatrix} 3&-8\\ 1&0 \end{pmatrix} $$
とおくと、
$$ \begin{pmatrix} U_{n+1}\\ U_n \end{pmatrix} =A^n \begin{pmatrix} 1\\ 0 \end{pmatrix} ,\qquad A^5= \begin{pmatrix} -45&568\\ -71&168 \end{pmatrix}$$
なので、$m=5q+r$$0\leq r<5$ と書くと、
$$ A^5\equiv26I\pmod{71},\qquad U_m \equiv26^qU_r\pmod{71} $$
ここで、$ 26^7\equiv-1\pmod{71} $なので、$26$$\mod 71$ における位数は $14$ である。$U_m=1$ とすると、$r=0,2,4$が不可能であることが$\mod 71$によりわかる。また、$r=1,3$のとき$14 \mid q$であることが同様にわかる。つまり、
$$ r\in\{1,3\}, \qquad 14\mid q$$
である。したがって、ある非負整数 $t$ によって$ m=70t+r, \quad (r\in\{1,3\}) $と書ける。
次に、$t>0$ は不可能であることを示す。
先ほどの $A^5$ は、
$$ A^5=26I+71C, \qquad C= \begin{pmatrix} -1&8\\ -1&2 \end{pmatrix} $$
と書ける。
さらに、$ 26^7\equiv-1\pmod{71^2} ,\quad 26^{14}\equiv1\pmod{71^2}$であり、二項展開により、
$$ \begin{aligned} A^{70} &=(A^5)^{14}\\ &=(26I+71C)^{14}\\ &\equiv 26^{14}I+14\cdot26^{13}\cdot71C \\&\equiv I+71D\pmod{71^2} \end{aligned} $$
である。ここで、
$$ D=6C= \begin{pmatrix} -6&48\\ -6&12 \end{pmatrix} $$
である。$t>0,\ \ e=v_{71}(t) $とおく。このとき、二項展開によって
$$ (A^{70})^t \equiv I+71tD \pmod{71^{e+2}} $$
となる。

(i) $r=1$ の場合
$$ \begin{pmatrix} U_2\\ U_1 \end{pmatrix} =\begin{pmatrix} 3\\ 1 \end{pmatrix},\qquad D \begin{pmatrix} 3\\ 1 \end{pmatrix} =\begin{pmatrix} 30\\ -6 \end{pmatrix}$$
であるから、
$$ \begin{aligned} \begin{pmatrix} U_{70t+2}\\ U_{70t+1} \end{pmatrix} &= (A^{70})^t \begin{pmatrix} U_2\\ U_1 \end{pmatrix}\\ &\equiv \left(I+71tD\right) \begin{pmatrix} 3\\ 1 \end{pmatrix} \pmod{71^{e+2}} \end{aligned} $$
第2成分を比較すると、$ U_{70t+1}-1\equiv -6\cdot71t \pmod{71^{e+2}} $
$71\nmid6$ かつ $v_{71}(t)=e$ なので、右辺は $71^{e+2}$ では割り切れない。よって、$ U_{70t+1}\neq U_1=1 $

(ii) $r=3$ の場合

$$ \begin{pmatrix} U_4\\ U_3 \end{pmatrix} =\begin{pmatrix} -21\\ 1 \end{pmatrix},\qquad D \begin{pmatrix} -21\\ 1 \end{pmatrix} =\begin{pmatrix} 174\\ 138 \end{pmatrix}$$
であるから、同様に$ U_{70t+3}-1 \equiv138\cdot71t \pmod{71^{e+2}}$
$71\nmid138$ であるから、右辺は $71^{e+2}$ では割り切れない。よって、$ U_{70t+3}\neq U_3=1$

以上より、$t>0$ の場合には $U_m=1$ とはならない。よって$U_m=\pm 1$なら$m=1,3$であり、逆の確認は容易。

補足

$(\alpha)$$(\overline{\alpha})$ が互いに素であること

イデアル $I,J$ が互いに素であるとは、$ I+J=\mathcal O_K $が成り立つことをいう。もし $(\alpha)$$(\overline{\alpha})$ が互いに素でなければ、$ (\alpha)+(\overline{\alpha})\neq\mathcal O_K $である。

したがって、この和を含む極大イデアル $\mathfrak r$ が存在する。このとき、$ \alpha,\overline{\alpha}\in\mathfrak r $により$ \alpha-\overline{\alpha}=\sqrt{-23}\in\mathfrak r $となる。
また、$ \alpha\overline{\alpha}=2^{x-2} $であるから、$ 2^{x-2}\in\mathfrak r$であるが、$\mathfrak r$ は素イデアルなので、$ 2\in\mathfrak r$ となる。
したがって、$\mathfrak r$$(2)$ を含む素イデアルである。ところが、
$$ (2)=\mathfrak p\mathfrak q, \qquad \mathfrak p=(2,\omega), \qquad \mathfrak q=(2,\omega-1) $$
であるから、$ \mathfrak p\mathfrak q=(2)\subset\mathfrak r$となる。$\mathfrak r$ は素イデアルなので、
$$ \mathfrak p\subset\mathfrak r \quad\text{or}\quad \mathfrak q\subset\mathfrak r $$
が成り立つ。一方、$ \mathcal O_K/\mathfrak p\cong\mathbb F_2, \quad \mathcal O_K/\mathfrak q\cong\mathbb F_2 $であるから、$\mathfrak p,\mathfrak q$ は極大イデアルである。
つまり、$ \mathfrak r=\mathfrak p \quad\text{or}\quad \mathfrak r=\mathfrak q $でなければならない。
一方、$ \sqrt{-23}=2\omega-1 $ より
$$ \sqrt{-23}\equiv-1\not\equiv0 \pmod{\mathfrak p},\quad \sqrt{-23}\equiv-1\not\equiv0 \pmod{\mathfrak q}$$
より、$ \sqrt{-23}\notin\mathfrak p, \quad \sqrt{-23}\notin\mathfrak q$となり矛盾する。よって、
$$ (\alpha)+(\overline{\alpha})=\mathcal O_K $$
であり、$(\alpha)$$(\overline{\alpha})$ は互いに素である。

$\mathfrak p,\mathfrak q$ が単項イデアルではないこと

$ \mathfrak p=(2,\omega) $が単項イデアルであると仮定する。このとき、ある $\gamma\in\mathcal O_K$ によって$ \mathfrak p=(\gamma) $
と書ける。
$2,\omega\in\mathfrak p=(\gamma)$ であるから、$\gamma$$2$$\omega$ の両方を割る。したがって、元のノルムを取ると、
$$ N(\gamma)\mid N(2)=4, \qquad N(\gamma)\mid N(\omega)=6$$
よって、$ N(\gamma) \mid\gcd(4,6)=2$である一方、$\mathfrak p$ は真のイデアルであるから$\gamma$ は単元ではない。$\gamma \neq 0$をも踏まえると、$N(\gamma)=2$である。
ここで、$ \gamma=a+b\omega \quad (a,b\in\mathbb Z) $とすると、
$$ N(a+b\omega) =(a+b\omega)(a+b\overline{\omega}) =a^2+ab+6b^2 =2$$
となる。これは$ (2a+b)^2+23b^2=8$と書けるが、これが不可能であることは容易に確かめられる。
したがって、$ \mathfrak p=(2,\omega) $は単項イデアルではない。

$\mathfrak q=(2,\omega -1)$についても、$N(\omega-1)$を考えれば同様に示せる。

$3\mid x-2$であること

一般に、非零イデアル $\mathfrak a$ について、$ \mathfrak a^3 $が単項イデアルであり、$\mathfrak a$ 自身が単項イデアルでないとする。このとき、$\mathfrak a^e$ が単項イデアルならば、$ 3\mid e $である。
$ e=3k+r,\quad 0\leq r<3 $と書と、$\mathfrak a^3$ は単項イデアルなので$\mathfrak a^{3k}$ も単項イデアルである。

$\mathfrak a^e$ も単項イデアルであるから、$ \mathfrak a^e=\mathfrak a^{3k}\mathfrak a^r $により$\mathfrak a^r$ も単項イデアルとなる。

(i) $r=1$のとき
$\mathfrak a$ が単項イデアルとなり、仮定に反する。

(ii) $r=2$のとき
$\mathfrak a^2$ が単項イデアルとなる。つまり$\mathfrak a^4$も単項イデアルである。$\mathfrak a^3$は単項イデアルなので、$\mathfrak a$が単項イデアルになるがこれは矛盾である。

したがって、$ r=0 $より$ 3\mid e $が従う。

この結果を$ (\alpha)=\mathfrak p^{x-2} $等に適用すると$3\mid x-2$を得る。

投稿日:7日前
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