京大数学系の院試(2005年度専門問1)の解答です.
自分が作った解答は
ここ
に置いてあります.
$\ZZ$上の$n$変数多項式環$\ZZ[x_1, x_2, \dots, x_n]$の極大イデアルは$n + 1$個の元で生成されることを示せ.
$\mathfrak{m}$を$\ZZ[x_1, \dots, x_n]$の極大イデアルとする.東大数理2007年度専門問2と同様に,素数$p$があって$\mathfrak{m} \cap \ZZ = p\ZZ$となる.よって$\ZZ[x_1, \dots, x_n] / (p) \cong \FF_p[x_1, \dots, x_n] =: R$の極大イデアルが$n$個の元で生成されることを示せば良い.
改めて$\mathfrak{m}$を$R$の極大イデアルとする.$R / \mathfrak{m}$は体であり,有限生成$\FF_p$代数だから,Zariski の補題より$\FF_p$上の有限次拡大である.よって$x_i$の$R / \mathfrak{m}$における同値類を$y_i$とおくと,$y_i$の$\FF_p$上最小多項式$f_i(x)$が存在する.この時$f_i(y_i) = 0$より$f_i(x_i) \in \mathfrak{m}$だから,$\mathfrak{m}$は$R$上一次独立な$n$個の元$f_i(x_i)$を含む.一方$R / (f_1(x_1), \dots, f_n(x_n))$は体なので,$(f_1(x_1), \dots, f_n(x_n))$は$R$の極大イデアルである.従って$\mathfrak{m} = (f_1(x_1), \dots, f_n(x_n))$だから示された.
東大数理でも数年前に似た問題が出題されています.
以下の問に答えよ.
(1) $K$を体とする.$K$上の$2$変数多項式環$K[X, Y]$の極大イデアルは$2$つの元で生成されることを示せ.
(2) 有理整数環$\ZZ$上の$2$変数多項式環$\ZZ[X, Y]$の極大イデアルは$3$つの元で生成されることを示せ.