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現代数学解説
文献あり

Ramanujanによるp(5n+4)の母関数, 関連する等式

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非負整数nに対して, p(5n+4)=0(mod5)が成り立つことはRamanujanの合同式として有名である. 母関数の明示式がRamanujanによって与えられている.

Ramanujanによる公式

p(n)nの分割数とするとき,
0np(5n+4)qn=5(q5;q5)5(q;q)6q(q5;q5)5(q;q)=0n(q5n+1(1q5n+1)2q5n+2(1q5n+2)2q5n+3(1q5n+3)2+q5n+4(1q5n+4)2)
が成り立つ.

以下はBaileyによる1952年の証明である.

まず, 2つ目の等式を示す.
0n(q5n+1(1q5n+1)2q5n+2(1q5n+2)2q5n+3(1q5n+3)2+q5n+4(1q5n+4)2)=nZ(q5n+1(1q5n+1)2q5n+3(1q5n+3)2)=(1q2)nZq5n+1(1q10n+4)(1q5n+1)2(1q5n+3)2=q(1q2)(1q4)(1q)2(1q3)26ψ6[q7,q7,q,q,q3,q3q2,q2,q8,q8,q6,q6;q5;q5]
ここで, Baileyの6ψ6和公式 より,
6ψ6[q7,q7,q,q,q3,q3q2,q2,q8,q8,q6,q6;q5;q5]=(q7,q9,q2,q;q5)(q5;q5)4(q4,q2,q8,q6;q5)2
であるから, これを代入して,
q(q5;q5)5(q;q)=0n(q5n+1(1q5n+1)2q5n+2(1q5n+2)2q5n+3(1q5n+3)2+q5n+4(1q5n+4)2)
を得る. 1つ目の式を示す. 2つ目の式から,
(q5;q5)50np(n)qn+1=0n(q5n+1(1q5n+1)2q5n+2(1q5n+2)2q5n+3(1q5n+3)2+q5n+4(1q5n+4)2)
であるから, 両辺のq5n,n0の係数だけを集めることによって,
(q5;q5)50np(5n+4)q5n+5=50n((q5)5n+1(1(q5)5n+1)2(q5)5n+2(1(q5)5n+2)2(q5)5n+3(1(q5)5n+3)2+(q5)5n+4(1(q5)5n+4)2)
q5qとすると,
(q;q)50np(5n+4)qn+1=50n(q5n+1(1q5n+1)2q5n+2(1q5n+2)2q5n+3(1q5n+3)2+q5n+4(1q5n+4)2)=5q(q5;q5)5(q;q)
よって,
0np(5n+4)qn=5(q5;q5)5(q;q)6
を得る.

1つ目の等式の係数を比較することによって, 以下のRamanujanによる合同式を得る.

非負整数nに対して, p(5n+4)=0(mod5)が成り立つ.

Baileyの論文においては, 定理1の類似として以下のような公式も示されている.

Ramanujanによる公式

(q;q)5(q5;q5)=150n((5n+1)q5n+11q5n+1(5n+2)q5n+21q5n+2(5n+3)q5n+31q5n+3+(5n+4)q5n+41q5n+4)

ω:=e2πi5とする. Baileyの6ψ6和公式 より,
(q,aq,q/a,aq,q/a;q)(q5;q5)(a52q5,q5/a52;q5)=6ψ6[aq,aq,aω,aω2,aω3,aω4a,a,ω4aq,ω3aq,ω2aq,ωaq;q]=1a52(1a)(1a)nZ(1aq2n)(1aq)qn1a52q5n=1+1a52(1a)(1a)0<n((1aq2n)(1aqn)qn1a52q5n(q2na)(qna)qna52q5n)=1+1a52(1a)(1a)0<n(1aq2n)(1aqn)(a52q5n)qn(q2na)(qna)qn(1a52q5n)(1a52q5n)(a52q5n)
である. a1とすると,
(q;q)5(q5;q5)=150<nqn2q2n3q3n+4q4n+4q6n3q7n2q8n+q9n(1q5n)2
となるから,
0<nqan(1q5n)2=0<n,0m(m+1)q(5m+a)n=0m(m+1)q5m+a1q5m+a
を用いると,
0<nqn2q2n3q3n+4q4n+4q6n3q7n2q8n+q9n(1q5n)2=0m(m+1)(q5m+11q5m+12q5m+21q5m+23q5m+31q5m+3+4q5m+41q5m+4)+0mm(4q5m+11q5m+13q5m+21q5m+22q5m+31q5m+3+q5m+41q5m+4)=0m((5m+1)q5m+11q5m+1(5m+2)q5m+21q5m+2(5m+3)q5m+31q5m+3+(5m+4)q5m+41q5m+4)
となって示される.

参考文献

[1]
W. N. Bailey, A note on two of Ramanujan's formulae., Quart. J. Math. Oxford Ser. (2), 1952, 29-31
投稿日:224
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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