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大学数学基礎解説
文献あり

東大院試04-A1

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(説明のため記法を一部改変)

実行列A=(aij)に対して,||A||=i,j|aij|とおく.行列
B=(311211011)
について,limn||Bn||1/nを求めよ.

まず,
n次行列Aのべき乗Akの挙動はAの固有値の挙動と密接な関係を持つ」という事実がキーとなります(参考文献[1]).
このことを説明するために,スペクトル半径という概念を導入します.

スペクトル半径

n次行列Aの固有値をλ1,,λnとし,
ρ(A)=maxi|λi|
とおく.ρ(A)Aのスペクトル半径と呼びます.

これについて以下が成り立ちます.

limkAk=Oρ(A)<1
また,ρ(A)>1ならば,limk||Ak||=が成り立つ.

ジョルダン標準形の理論により,Aはある正則行列Pを用いて
P1AP=(J1Jm)=J
とかける.ここに各Jiはジョルダンブロックを表す.
Jiの次数をpとすれば,kpのとき
Jik=(λik(k1)λik1(k2)λik2(kp1)λikp+1λik(k1)λik1(k1)λik1λik)
となるので,
limkJik=Olimk(kj)λikj=0
が成り立つ.
(kj)の部分はkiのオーダーで増加するので,
limk(kj)λikj=0|λi|<1
である.
よって
limkAk=OlimkJik=O|λi|<1ρ(A)<1
である.
二つ目の主張は例えばジョルダンブロックの対角成分を考えれば明らかであろう.

さて,これを用いて本丸の定理を示しましょう.

Gelfandの公式

ρ(A)=limn||An||1/n

εを任意の正の実数とする.このとき,
A~=(ρ(A)+ε)1A
について,ρ(A~)<1が成り立つので,定理1より
limnA~=Oが成り立つ.よって,自然数N1が存在して,「nN1||A~n||<1」が成り立つ.A~=(ρ(A)+ε)1Aを代入して,ついでに両辺を1/n乗すれば,
nN1||An||1/n<ρ(A)+ε」が成り立つ.
次に,
A^=(ρ(A)ε)1A
を考えると,ρ(A^)>1より,自然数N2が存在して,「nN2||A^n||>1」が成り立つ.上と同様に,「nN2||An||1/n>ρ(A)ε」が分かる.
ゆえに定理が成り立つ.

もう後はいいですよね.
B=(311211011)
の固有値は計算すると1,2なので,答えは2です.

おわりに

今回の記事はWikipediaさんにお世話になりました.Gelfandの公式の証明なんてどこに載っているんでしょうね(泣)

参考文献

投稿日:20241115
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はじめまして!楽しい記事を書ければと思いますので、よろしくお願いします。

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