院試hubの線形代数対策ページ
2026年9月1日に取得した院試hubの線形代数対策ページ上部。演習入口の所在だけを示し、以下の導出は自作例で確認する。
固有値が全部求まったところでペンを止めると、対角化問題では一番大事な判定が残ります。特に重根があるとき、特性多項式だけから対角化可能とは言えません。
ここでは、同じ固有値を持つ二つの行列を比べます。
$$
A=\begin{pmatrix}2&1\\0&2\end{pmatrix},\qquad
B=\begin{pmatrix}2&0\\0&2\end{pmatrix}.
$$
固有値が同じ二行列の対角化判定
図1:記事中の二行列を固有空間の次元と最小多項式で比較した自作図。同じ特性多項式だけでは対角化の可否を決められないことを示す。
$A$ について
$$
\det(tI-A)
=\det\begin{pmatrix}t-2&-1\\0&t-2\end{pmatrix}
=(t-2)^2.
$$
$B=2I$ でも
$$
\det(tI-B)=(t-2)^2.
$$
したがって両方とも固有値は $2$ だけで、その代数的重複度は2です。ここまでの情報では区別できません。
$A$ の固有値2に属する固有ベクトルを求めます。
$$
(A-2I)\binom{x}{y}
=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}\binom{x}{y}
=\binom{y}{0}
=\binom{0}{0}.
$$
よって $y=0$、$x$ は自由です。
$$
E_2(A)=\ker(A-2I)
=\left\{\binom{x}{0}\mid x\in\mathbb R\right\}
=\operatorname{span}\left\{\binom{1}{0}\right\}.
$$
固有空間は一次元です。2次元空間の基底に必要な、一次独立な固有ベクトル二本を取れません。したがって $A$ は対角化できません。
一方、$B-2I=0$ なので
$$
E_2(B)=\ker(B-2I)=\mathbb R^2.
$$
固有空間は二次元です。標準基底 $e_1,e_2$ はどちらも固有値2の固有ベクトルであり、$B$ は対角化できます。実際、すでに対角行列です。
重根がある2次行列なら、次の三行を分けて書くと論理が崩れません。
$N=A-2I$ とおくと
$$
N=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}\ne0,\qquad N^2=0.
$$
したがって $A$ の最小多項式は $(t-2)^2$ です。重根を持つので対角化できません。
$B-2I=0$ だから、$B$ の最小多項式は $t-2$ です。こちらは重根を持たず、対角化可能です。
固有空間による判定は具体的な基底を作るときに便利で、最小多項式による判定は高次元やジョルダン標準形へ進むときに便利です。答案でどちらを使う場合も、定理名だけで終わらず、核の次元または最小多項式を実際に示します。
一般の $n$ 次行列では、各固有値 $\lambda$ について
$$
\dim\ker(A-\lambda I)
\leq \text{固有値 }\lambda\text{ の代数的重複度}
$$
が成り立ちます。全固有値について等号が成立し、固有空間の次元の合計が $n$ なら対角化可能です。どこか一つでも不足すれば、固有ベクトルだけで基底を作れません。
過去問へ戻るときは、固有値の計算欄の下へ「固有空間の基底」と「次元」を必ず残してみてください。院試で扱われる線形代数の論点と研究科別の入口は
院試hubの線形代数対策
に整理されています。公式過去問は、たとえば
京都大学数学・数理解析専攻の配布ページ
のような大学側の一次資料を使います。
この記事の例題と導出は株式会社Fermionが運営するTeX64 Primeアカウントによる自作です。院試hubも同社が運営しています。大学公式の問題・解答ではありません。
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