今回も院試を解いていきます.
R2上の実数値連続関数fについて次の条件(*)を考える.(*)任意の正の実数Rに対して次の集合は有界である.{(x,y)||f(x,y)|≤R}以下の問に答えよ.(1)条件(*)を満たす連続関数fの例を与え,それが(*)を満たすことを示せ.(2)連続関数fが条件(*)を満たすとき,次のいずれかが成り立つことを示せ.(a)fは最大値を持つが最小値は持たない.(b)fは最小値を持つが最大値は持たない.
証明 (1)f(x,y)=x2+y2と置く.B(x,y,R)で中心(x,y)半径Rの開円板を表すことにすると|f(x,y)|≤R⇔(x,y)∈B(0,R)であり有界なので(*)を満たす.(2)fが有界ならば上界,下界をM, mとしてR=max{|M|,|m|}と置けば{(x,y)||f(x,y)|≤R}は平面全体となり非有界なので(*)を満たさない.よって最大値と最小値を共に持たないとして矛盾を導けば十分.fは連続なのでR2の像はRの連結部分集合,すなわち区間である.(*)から上または下に非有界だから必要なら−1倍と平行移動をすることでf(R2)=(α,∞),α=−2または−∞としてよい.このとき(*)を満たしたままである. (*)からX={(x,y)||f(x,y)|≤1}は原点中心のある開球B(0,0,ϵ)に含まれる. f(B(0,0,ϵ)―)はfの連続性からRの連結なコンパクト集合だから[a,b]と置ける. X⊆B(0,0,ϵ)だからf(R2∖B(0,0,ϵ)―)は[−1,1]を含まない.α+a2∉[a,b]だからα+a2,b+1∈f(R2∖B(0,0,ϵ)―).これはf(R2∖B(0,0,ϵ)―)の連結性に反する.
コメント:直線から有界区間を除くと二つの連結成分に分かれるが,平面から開円板を除くと連結成分は一つという性質を使います.
バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。