ここでは東大数理の修士課程の院試の2020B01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2020B01
及びその部分体をとり、のガロア閉包をとする。
- 拡大次数を求めなさい。
- の中間体で、上次拡大であるものの個数を求めなさい。
- (2)の体のうち、上ガロアでなくかつを含まないものを一つ挙げなさい。
- 初めにはの根である。よってである。ここでであるからである。またである。または上の既約多項式
及びの最小分解体なのでである。特にである。 - まずの元は
で定義されるもので尽くされる。但しはの元を走り、更に
である。
であるから、の位数の元の個数はである。よって所望の体も個である。 - で生成される部分群を考える。まずの元
をとったとき、これの及びによる像は
であるから、の中でを固定するのはのみである。またでが安定だとすると、がで固定されるから矛盾する。よってはで安定でなく、特に上ガロアでない。またの形の元はを固定しない位数の元である。以上から
が所望の例になっている。