平面に限って論じていきます。
incidence geometryとは、三つ組($\mathcal{P,L},I$)のことで、$\mathcal{P}$は点の集合を、$\mathcal{L}$は直線の集合を、$I$は$\mathcal{P}\times \mathcal{L}$上の関係を表す。
$I$は、点が直線上に載っているかどうかという情報を与えてくれます。
以下の3つの公理をを満たすincidence geometryをアフィン平面と呼ぶ。
(1) 2つの異なる点が与えられたとき、その2点を通る直線がただ一つ存在する。
(2) 点$P$と直線$L$が与えられたとき、$P$を通る$L$に平行な直線がただ一つ存在する。
(3) 同一直線上にない3つの点が存在する。
以下の3つの公理を満たすincidence geometryを射影平面と呼ぶ。
(1) 2つの異なる点が与えられたとき、その2点を通る直線がただ一つ存在する。
(2) 二つの異なる直線は必ずただ一点で交わる。
(3) どの3点も同一直線状にない4点が存在する。
$k$を体とする。このとき、二次元アフィン平面$\mathbb{A}_k^2$を次のように定義する。
$\mathbb{A}_k^2$はアフィン平面である。
参考文献を参照
二次元射影平面$\mathbb{P}_k^2$を次のように定義する。
$\mathbb{P}_k^2 $は射影平面である。
(1)二つの異なる点$\alpha,\beta\in\mathcal{P}$について、$\alpha,\beta$が張る2次元部分空間を考えればよい。一意性は明らか。
(2)2つの異なる直線$A.B$について、線形代数より、$$\text{dim} A+\text{dim}B=\text{dim} (A\cup B)+\text{dim}(A\cap B)$$
であることから、$A\cap B$は1次元部分空間。一意性は明らか。
(3)それぞれ$(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1),(1,1,1)$で生成される点を考えればいい。
代数幾何でアフィンと射影という言葉が1億回出てくるので、それらの初等的な理解をしたいと思ったからです。
参考文献にも注意がありますが、ここでも一応Remarkしておくと、アフィン幾何・射影幾何と言っても色々です。公理を満たしてさえいればokなので。例えば、例えば、9元体上の射影平面$\mathbb{P}_{\mathbb{F}_9}^2$は91個の点を持つらしいですが、91個の点を持つ射影平面がほかにちょうど3つ存在することが知られているようです。この事実はコンピュータを用いてエレファントに証明されたようです。