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東大数理院試過去問解答例(2007A07)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2007A07の解答例を解説していきます(但し今回は解説の都合で問題を改変しています)。問題は解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです

2007A07(改)

$n\geq2$を自然数とする。整数$1\leq i,j\leq n$に対して、$E_{ij}$を第$(i,j)$成分が$1$でそれ以外が$0$であるような行列とする。以下の問いに解答しなさい。

  1. $A\in M_n(\mathbb{C})$を任意にとる。$\mathrm{rank}(A+E_{ij})>\mathrm{rank}(A)$なる組$(i,j)$は少なくとも$(n-\mathrm{rank}(A))^2$組存在することを示しなさい。
  2. $A\in \mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$を任意に取る。$A+E_{ij}\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$なる組$(i,j)$が少なくとも$n-1$組存在することを示しなさい。
  3. $A+E_{ij}\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$になるような組$(i,j)$がちょうど$n-1$組存在するような$A\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$をひとつ挙げなさい。
  1. 行基本変形と列基本変形から従う。
  2. 初めに
    $$ \det(A+E_{ij})=\det(A)\det(1+A^{-1}E_{ij}) $$
    であるから、$A+E_{ij}\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$であるためには$1+A^{-1}E_{ij}\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$でないことが必要充分であり、そのためには$A^{-1}$$(i,j)$成分が$-1$でないことが必要充分である。ここで可逆行列は同じ列ベクトルを含まないことを考慮すると、鳩の巣原理からその成分のうち$-1$であるものは高々$n^2-n+1$個である。以上から$A+E_{ij}\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$なる組$(i,j)$$n^2-(n^2-n+1)=n-1$組以上であることが従う。
  3. (2)の議論により、$A^{-1}$の成分のうちが$n^2-n+1$個が$-1$であるような$A\in\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$を取れば良い。実際
    $$ {\color{red}A=\begin{pmatrix} 1&0&0&\cdots&0&-1\\ 0&1&0&\cdots&0&-1\\ 0&0&1&\cdots&0&-1\\ \vdots&\vdots&\vdots&\ddots&\vdots&\vdots\\ 0&0&0&\cdots&1&-1\\ -1&-1&-1&\cdots&-1&n-2\\ \end{pmatrix}} $$
    と置いたとき、これは可逆行列であり、
    $$ A^{-1}:=\begin{pmatrix} 0&-1&-1&\cdots&-1&-1\\ -1&0&-1&\cdots&-1&-1\\ -1&-1&0&\cdots&-1&-1\\ \vdots&\vdots&\vdots&\ddots&\vdots&\vdots\\ -1&-1&-1&\cdots&0&-1\\ -1&-1&-1&\cdots&-1&-1\\ \end{pmatrix} $$
    である。よってこの$A$が所望の例になっている。
投稿日:2日前
更新日:2日前
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藍色日和
藍色日和
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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