6
大学数学基礎解説
文献あり

fのn階積分F_nについての級数Γ(n)F_n(x)

88
0

分数階微分積分

分数階微分積分の定義は様々な式で定義されている. ここではRiemann-Liouvilleの分数階積分を紹介する.

反復積分に関するCauchyの公式

実連続関数f,x>0,nZ>0について
dndxnf(x)=1(n1)!ax(xt)n1f(t)dt
が成り立つ.

数学的帰納法

n=1のとき
d1dx1f(x)=axf(x)dx=10!ax(xt)0f(t)dt

nのとき主張が正しいと仮定すると, n+1のとき
d1dx1f(x)=axax1axn1f(xn)dxndx2dx1=1(n1)!axax1(x1t)n1f(t)dtdx1
積分の順序を交換して
=1(n1)!axtx(x1t)n1f(t)dx1dt=1n!ax(x1t)nf(t)dt

nが正の整数のときΓ(n)=(n1)!なので, 階乗をガンマ関数に置き換えることで複素数階の積分に対応させた分数階積分の定義ができる.

Riemann-Liouvilleの分数階積分

実連続関数f,x>0,αCZ0について, fα階積分を次のように定める.
dαdxαf(x):=1Γ(α)0x(xt)α1f(t)dt

注意点

関数によって定数の有無が変わることがあります.

sinの二階積分の場合では, xが現れます.
d2dx2sinx=1(21)!0x(xt)sintdt=[(xt)cost]0x0xcostdt=sinxx

xの二階積分の場合では, 定数は現れません.
d2dx2x=1(21)!0x(xt)tdt=[xt22t33]0x=x36

これは積分するたびに出る定数が原因で今回の級数に適応する場合, 任意のnZ>0に対して, dndxnf(a)=0となるaが存在する必要があります.

級数

nZ>0,aR;dndxnf(a)=0を満たすa
dndxnf(x)=1(n1)!ax(xt)n1f(t)dt
を適応します.

nZ>0,aR;dndxnf(a)=0を満たす. 両辺が収束して, 0ax<1のとき, gn(t)=f(t)1+xtaからxまでの積分と極限が可換ならば, 次の式が成り立つ.
n=1(n1)!dndxnf(x)=axf(t)1+xtdt

dndxnf(x)=1(n1)!0x(xt)n1f(t)dt
(n1)!dndxnf(x)=0x(xt)n1f(t)dt
n=1,2,,Nまで和を取ると, 有限和と積分は交換できるので
n=1N(n1)!dndxnf(x)=n=1N0x(xt)n1f(t)dt=0xn=1N(xt)n1f(t)dt=0x1(xt)N1(xt)f(t)dt

0tx<1なのでNに飛ばして, 積分と極限が可換であれば
limNn=1N(n1)!dndxnf(x)=limN0x1(xt)N1(xt)f(t)dt=0xlimN1(xt)N1(xt)f(t)dt=0x11x+tf(t)dt
n=1(n1)!dndxnf(x)=0xf(t)1+xtdt
を得る.

一般化

nZ>0,cR;danbdxanbf(c)=0を満たす. 両辺が収束して, 0cx<1のとき, gn(t)=(xt)b{1(xt)a}(xt)a+1f(t)cからxまでの積分と極限が可換ならば, 次の式が成り立つ.n=1Γ(an+b)d(an+b)dx(an+b)f(x)=cx(xt)b{1(xt)a}(xt)a+1f(t)dt

n=1NΓ(an+b)d(an+b)dx(an+b)f(x)=n=1N0x(xt)an+b1f(t)dt=0xn=1N{(xt)a}n1(xt)ba1f(t)dt=0x1(xt)an1(xt)a(xt)ba1f(t)dt
区間(0,x)での1(xt)an1(xt)a(xt)ba1f(t)の積分と極限が可換のとき
n=1Γ(an+b)d(an+b)dx(an+b)f(x)=0x(xt)b{1(xt)a}(xt)a+1f(t)dt=0xtb(1ta)ta+1f(xt)dt

f(x)=xm(m=0,1,)

fn階積分はdndxnf(x)=m!(m+n)!xm+nである.
n=1(n1)!dndxnf(x)=n=1(n1)!m!(m+n)!xm+n
=xmm+1n=1xn(n+mn1)=xmn=1xnn(n+mm)

ダランベールの収束判定法を使うと,

0limnxn+1(n+m+1n)(n+mn1)xn=limnnn+m+1x=x<1
よって, 0x<1で絶対収束する.

x=1のときを考える.
m=0の場合
n=1(n1)!0!(0+n)!=n=11n=
で発散する.

m1の場合
(n+m)!(n1)!=(n+m)(n+m1)(n+1)nnm+1より
(n1)!(n+m)!1nm+1
n=1(n1)!m!(n+m)!m!n=11nm+1=m!ζ(m+1)<
よって, 収束する.

0x<1,0mまたはx=1,1mのとき, 次が成り立つ.
xmm+1n=1xn(n+mn1)=xmn=1xnn(n+mm)=0xtm1x+tdt

おわりに

この等式の問題点は多くの関数で級数が発散することです. 収束するような関数がxの累乗くらいしかないせいで本当に活用先がないです.

参考文献

投稿日:220
更新日:223
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

▽X/Twitter▽ | TyLite(トワイライト)です。認知欲求のためにSNSとMathlogしてる。フォロバはほぼ返すと思う。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 分数階微分積分
  2. 級数
  3. f(x)=xm(m=0,1,)
  4. おわりに
  5. 参考文献