次の積分を計算したいと思います。
$$\int_{0}^{1}\frac{x-1}{\log{x}}dx=\log2$$
次のような積分を考えます。
$$\int_0^1\int_0^1x^tdtdx$$
$t$から先に積分すると
$$\int_0^1\int_0^1x^tdtdx=\int_0^1\left[\frac{x^t}{\log{x}}\right]_{t=0}^{t=1}dx=\int_0^1\frac{x-1}{\log{x}}dx$$
$x$から先に積分すると
$$\int_0^1\int_0^1x^tdxdt=\int_0^1\left[\frac{x^{t+1}}{t+1}\right]_{x=0}^{x=1}dt=\int_0^1\frac{dt}{t+1}=\Big[\log(t+1)\Big]_0^1=\log2$$
よって
$$\int_{0}^{1}\frac{x-1}{\log{x}}dx=\log2$$
…と、あれ?
何の気なしに積分の順序を交換したものが等しい、って言いましたけれど、これが成り立つのかどうかを確かめます。積分の順序交換に関して、次のような定理がありました(名前わからん、フビニの定理の特別な場合?)。
$f(x,y)$が$\{(x,y)|a\leqq x\leqq b,c\leqq y\leqq d\}$で連続ならば
$$\int_c^d\int_a^bf(x,y)dxdy=\int_a^b\int_c^df(x,y)dydx$$
さっきのはこの定理の条件を満たしているのかというと、満たしていません。問題は、$x^t$が$(x,t)=(0,0)$で連続でない、というか連続となるように定義できないことにあります。
実数$x,t$に対して、$x^t=e^{t\log x}$と定義する($e$を底とする指数関数は級数で定義され、$\log x$はその逆関数として定義される)と、$\log x$は$x=0$で定義されません。しかし、$t>0$ならば、$x\rightarrow+0$とすると$e^{t\log x}\rightarrow0$ですから、$0^t=0$とすると$x=0$で連続となるように定義することができます。じゃあ$t=0$で連続となるように$0^0=0$と定義しようと思うと、$x\ne0$に対して$x^0=1$ですから、不連続になってしまいます。このように、$x^t$を$(x,t)=(0,0)$で連続となるように定義することはできないのです。
結局、広義積分で雑に積分順序を交換してはいけないってことですね(めちゃくちゃやっちゃってた)。じゃあ慎重に計算してみます。$0< a< b<1$として
$$\int_a^b\int_0^1x^tdtdx=\int_a^b\left[\frac{x^t}{\log x}\right]_{t=0}^{t=1}dx=\int_a^b\frac{x-1}{\log x}dx$$
$$\int_0^1\int_a^bx^tdxdt=\int_0^1\left[\frac{x^{t+1}}{t+1}\right]_{x=a}^{x=b}dt=\int_0^1\frac{b^{t+1}-a^{t+1}}{t+1}dt$$
$\{(x,t)|a\leqq x\leqq b,0\leqq t\leqq1\}$で$x^t$は連続ですから上の定理が使えて
$$\int_a^b\frac{x-1}{\log x}dx=\int_0^1\frac{b^{t+1}-a^{t+1}}{t+1}dt$$
が成り立ちます。ここで$0< t<1$のとき$a< a^t<1$であることなどから
$$\int_0^1\frac{b^{t+1}-a^{t+1}}{t+1}dt>\int_0^1\frac{b^2-a}{t+1}dt=(b^2-a)\log2$$
$$\int_0^1\frac{b^{t+1}-a^{t+1}}{t+1}dt<\int_0^1\frac{b}{t+1}dt=b\log2$$
よって右辺は$a\rightarrow+0,b\rightarrow1-0$としたときに$\log2$に収束すると分かったので
$$\int_{0}^{1}\frac{x-1}{\log{x}}dx=\log2$$
が言えました。
しょーみ数学科じゃない人は使う関数が性質良いので気にしなくていいんですけど。またよくわからない記事を書いてしまった。誰に向けた記事なんだこれ。まあいつもテキトーなこと書いてるのでたまには慎重になってみたということです。が、やっぱり色々雑なところがあったので、公開時から何度か追記修正してます。あ、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。