東大数理の院試(2019年度専門問2)の解答です.
自分が作った解答は
ここ
に置いてあります.
$a, b, c$を$1$以上の整数とする.このとき多項式$X^a + Y^b + Z^c \in \CC[X, Y, Z]$は既約であることを示せ.
$\CC[X, Y, Z] = \CC[Y, Z][X]$で$\CC[Y, Z]$は UFD だから,$\CC[Y, Z]$の素元$f$であって$Y^b + Z^c \in (f), Y^b + Z^c \not\in (f^2)$となるものが存在すれば,Eisenstein の既約判定法により$X^a + Y^b + Z^c$は既約となる.よって$f$の存在を示せば良い.
$Y^b + Z^c \in \CC[Y, Z] = \CC[Z][Y]$は$Y$についての次数が$b \geq 1$だから単元ではない.よってある素元$f$で割り切れる.今$f^2$で割り切れるとすると$Y$による偏微分$bY^{b - 1}$も$f$で割り切れるから,$(Y^b + Z^c) - \frac{Y}{b} \cdot bY^{b - 1} = Z^c$も$f$で割り切れる.これより$f = sZ^r \, (s \in \CC, r \leq c)$とおけるが,これは明らかに$Y^b + Z^c$を割らないから矛盾.従ってこの$f$が条件を満たすから示された.