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京大数学科院試過去問解答例(2017専門01)

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ここでは京大数学教室・RIMSの修士課程の院試の2017専門01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2017専門01

Gを有限群とする。

  1. |Aut(G)|=1であるようなGは自明群かZ/2Zと同型であるものに限ることを示しなさい。
  2. |Aut(G)|=2かつ2|G|であるようなGを全て求めなさい。
  1. Gの元による共役がGの自己同型であることを考慮すると、Gはアーベル群である。またGの自己同型としてidG=idG出なければならないからG=(Z/2Z)nである。最後にn>1のとき対角化不可能な元が存在してしまうのでn=0,1である。以上からG={1},Z/2Zであり、これは所望の結果である。
  2. まず準同型
    ρ:GAut(G)g(xgxg1)
    を取ることができ、|G|が奇数であることと|Aut(G)|=2であることからρ(G)={idG}、つまりGがアーベル群であることが従う。Gの位数が奇数であることからAut(G)={idG,idG}である。ここで奇素数pに対して
    φ(pn)=pn1(p1)
    であること(但しφはオイラー関数である)を考慮すると、Gとしてあり得るのは同型を除いてZ/3Zのみである。

この問題は|G|が奇数になっていたのでそれほど難しくありませんでしたが、この条件がなくともGはある程度限られます。G|Aut(G)|=2のみを満たす群とします。アーベル群の場合は上の議論とほぼ同様にして特定できる(GZ/3ZZ/4ZZ/6Zのいずれかになります)ので、以下Gは非可換群とします。このとき上で定義した群準同型ρ:GAut(G)は全射になっています。ここでH=Kerρとおきます。このときG/HAut(G)は巡回群ですが、Hはその定義からGの中心なのでここからGはアーベル群になることがわかります。しかしこれはGの非可換性の仮定に反するので、結局Gは同型を除いて上で挙げたZ/3ZZ/4ZZ/6Zのいずれかに限られます。

投稿日:13日前
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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