ここでは京大数学教室・RIMSの修士課程の院試の2017専門01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
$G$を有限群とする。
この問題は$|G|$が奇数になっていたのでそれほど難しくありませんでしたが、この条件がなくとも$G$はある程度限られます。$G$は$|\mathrm{Aut}(G)|=2$のみを満たす群とします。アーベル群の場合は上の議論とほぼ同様にして特定できる($G$は$\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}$か$\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$か$\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$のいずれかになります)ので、以下$G$は非可換群とします。このとき上で定義した群準同型$\rho:G\to\mathrm{Aut}(G)$は全射になっています。ここで$H=\mathrm{Ker}\rho$とおきます。このとき$G/H\simeq\mathrm{Aut}(G)$は巡回群ですが、$H$はその定義から$G$の中心なのでここから$G$はアーベル群になることがわかります。しかしこれは$G$の非可換性の仮定に反するので、結局$G$は同型を除いて上で挙げた$\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}$と$\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$と$\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$のいずれかに限られます。