ここでは東大数理の修士課程の院試の2013B07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2013B07
の相異なる平面が以下の条件を満たすように配置されているとする。
(i) 相異なるつの平面の共通部分は直線である。
(ii) 相異なるつの平面の共通部分は一点集合である。
(iii) 相異なるつの平面の共通部分は空集合である。
ここでにの部分空間として部分位相を入れる。
(1) のEuler標数を求めよ。
(2) は単連結であることを示せ。
(3) 整係数ホモロジー群を求めよ。
- まず平面上に於いて他の平面との共通部分になっている直線が互いに平行でないように引かれている。よってこの直線の和集合をとすると、は個の連結成分からなる。よって上の連結成分の個数は枚である。
次につの平面の共通部分である直線は枚の平面で交わっているから、から他の枚の平面との共通部分を除いた集合は本の連結成分からなる。よっての連結成分の個数は本である。
最後につの平面の共通部分であるような点の個数は個である。
以上からのEuler標数はである。 - ここで内の全ての閉曲線は少しずらすことでを経由しないものにホモトープである。よってそのような閉曲線が可縮であることを示せば良い。ここで閉曲線に対してとおく。以下なる閉曲線をとる。今、この閉路が平面から境界を越えてに侵入し、境界を経てにでていくような経路であったとする。それぞれの境界とこの閉路の交叉する点を及びとする。このときからに沿って上からに沿ってに至る経路を考え、のからへの経路をに置き換えた閉路を考える。次に上のからわずかに寄りの点を、上の点、上のからわずかに寄りの点をとし、線分との和集合をとり、上のを含む弧をに置き換えたものをとおく。とはホモトープである。また構成からであるから、帰納法により任意の閉路はなるにホモトープである。これは一平面上の閉路なので一点にホモトープであるから、これによりの単連結性が従う。
- まずについてはである。次に(2)からである。次には連結であるからである。次にEuler標数はで表されるから、の-加群としてのランクはである。またホモロジー群の定義及びが平面の和集合であることからは自由-加群の部分加群であり、特には捩れ部分を持たない。以上の議論から
である。