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アッカーマン集合論と2^√2について

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$$\newcommand{ep}[0]{\varepsilon} \newcommand{Iff}[0]{\Leftrightarrow} \newcommand{LL}[0]{\Leftarrow} \newcommand{RR}[0]{\Rightarrow} $$

はじめに

(新しく知った言葉を使いたいだけとか言わないでください.)

最近、なにかと$2^\sqrt{2}$の定義が話題なので,
基本的な集合論である$\text{ZF}\ldots$と(集合に関しては)同等なアッカーマン集合論から$2^\sqrt{2}$を定義するところまでやってみようと思います!

論理記号の定義や扱いは雑になるのでご了承ください.

アッカーマン集合論

アッカーマン集合論では変数はすべてクラスであり, あらかじめ集合全体のクラス$V$が与えられています.

アッカーマン集合論
  1. 外延性の公理
    $\forall x[x\in A\Iff x\in B]\RR A=B$
  2. 遺伝性
    $\forall x,y[(x\in y\lor x\subseteq y)\land y\in V\RR (x\in V)]$
  3. 内包公理
    $\phi$$x$以外の自由変数を$w_1,\ldots,w_n$とし, $X$を自由変数にもたないとする.
    $\forall w_1,\ldots,\forall w_n, \exists X \forall x[x\in X\Iff x\in V\land \phi(x)]$
  4. アッカーマンの公理
    $\phi$$x$以外の自由変数を$w_1,\ldots,w_n$とし, $X,V$を自由変数にもたないとする.
    $\forall w_1\in V,\ldots,\forall w_n\in V[\forall x(\phi(x)\to x\in V)\RR \exists X\in V,\forall x(x\in X\Iff \phi(x))]$

$V$の元を「集合」と呼ぶ.

正則性は今回使わないので省略します. また空なモデルでないこと$(\exists x(x=x))$も仮定します.

遺伝性から集合の要素の要素, 集合の部分集合が集合であることがいえるので, 和集合, べき集合の存在が言えます.
また, 形から置換公理の導出も難しくないと思います.
特に空集合$\varnothing$も存在します

自然数

$\phi(x)\equiv \forall N[(\varnothing\in N\land \forall z\in N(z\cup\set{z}\in N))\to x\in N]$
と置きましょう.

内包公理から$N_0$であって$x\in N_0\Iff x\in V\land \phi(x)$
なるものが存在します.
ここで$\varnothing\in N_0$であり, $z\in N_0$とすると, $z\cup\set{z}\in V, \phi(z\cup\set{z})$が言えます. これはそのまま$\phi$の仮定になっています.
つまり$\phi(x)\RR x\in N_0 \RR x\in V$ですから,
アッカーマンの公理から$N_0\in V$です。

今後この$N_0$$\mathbb{N}$と表します.

これが$S:x\mapsto x\cup\set{x}$を後者関数としたときペアノの公理を満たすことや, 四則演算, 順序の定義は省略します.

整数・有理数・実数

整数環$\mathbb{Z}$は環の圏の始対象です。
$\mathbb{N}\times(\mathbb{N}\setminus\set{\varnothing})$$(m,n)\sim (m',n'):\Iff m+n'=m'+n$という同値関係で割り、$[m,n]+[m',n']:=[m+m',n+n'], [m,n]\times[m',n']:=[mm'+nn',mn'+m'n]$として構成されます.
$[m,n]<[m',n']:\Iff m+n'< m'+n$とします.

商体$\mathbb{Q}$を、$[m,n]\leq[m',n']:\Iff mn'\leq m'n$が順序になるような同値関係で割り,
$[m,n]+[m',n']:=[mn'+m'n,nn'], [m,n]\times[m',n']:=[mm',nn']$という演算によって順序体となります.

実数

空でない$A\subsetneq \mathbb{Q}$
$\forall x\in\mathbb{Q},\exists a\in A[x< a\RR x\in A], \ \forall a\in A, \exists a'\in A[a< a']$
の二条件を満たすもの全体を$\mathbb{R}$と定義します.
特に$r\in \mathbb{Q}$に対し$\set{x\in \mathbb{Q}\mid x< r}\in\mathbb{R}$でこの対応は単射です.

$A+B:=\set{a+b\mid a\in A,b\in B}$とし,
$A\cdot B:= \begin{cases} \set{x\in\mathbb{Q}\mid \exists a\in A,\exists b\in B, x< ab} & (0_\mathbb{Q}\notin A\bigtriangleup B))\\ \set{x\in\mathbb{Q}\mid \exists a\in A,\exists b\in B, x+ab<0} & (0_\mathbb{Q}\in A\bigtriangleup B) \end{cases} $
とすると$\mathbb{R}$$\subseteq$による順序で順序体となります.($0_\mathbb{Q}$$\mathbb{Q}$の加法単位元.)

特に$\mathbb{R}$の加法単位元を$0$, 乗法単位元を$1$で表します.
そして$2=1+1$とします.

$\mathbb{R}$は上限性質(上に有界な集合は上限をもつ)ということが成り立ちます.(和集合を取ればすぐわかります.)

$2^\sqrt{2}$

連続関数は数列の極限と交換する関数のことで, 特に上極限, 下極限と交換します. (それぞれ和集合, 共通部分によって標準的に定義します.)
中間値の定理は連続関数$f:[a,b]\to\mathbb{R},f(a)<\gamma< f(b)$に対し, 二分探索的に極限を得ることで示され
よって正の数の自然数乗根が定義されます.(多項式関数の連続性, 発散性は簡単に示されます.)
$a^{\frac{m}{n}}:=\sqrt[n]{a^m}$は矛盾なく定義され, 正の有理数$r$に対して$2^r$が定義されます.

最後に, $2^\sqrt{2}=\sup\set{2^r\mid 0< r<\sqrt{2},r\in \mathbb{Q}}$
として定義されます. ($4$が上界になります.)

おわりに

この記事の作成に110分もかけてしまいました(汗)
恒等面接では使えなさそうです.
急いで作ったので五時等あれば教えてください.

ありがとうございますた!

参考文献

投稿日:16日前
更新日:16日前
OptHub AI Competition

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AAG
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キャベツです。 抽象代数学とか好きなB1。気分屋です。 厳密にテキトーにやってます。 基本検算しません。 間違いがあったら容赦なく指摘してください。

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