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平均値定理の(あまり見ないスタイルの)証明

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本稿の注意

(イ)筆者はmathlog初心者ですから、表記ミス等が多い可能性があります。
(ロ)本稿はタイトルの通り平均値定理のよく見ないスタイルでの証明について記したものです。前に同じ証明をした人がいるか全く調べていませんから、既出である可能性があります。(「修正及び補足」を参照)
(ハ)今回出てくる証明は、専門的な人の検査を受けていない以上、誤っている可能性があります。そのためタグは議論にしましたし、試験の解答などで書くのは推奨しません。その点十分留意してください。
(ニ)誤りについては、別途欄を設けて修正歴をつける予定ですが、誤字等の非本質的な誤りはそれを残しません。
(ホ)この記事は筆者のみの考えでなく、友人からの指摘や情報を経て構成されています。協力してくれた人には感謝しています。

定理の主張の確認と証明のスケッチ

まずは一応、平均値定理の主張を確認しておきましょう。

平均値定理

区間 $[a,b]$ で連続、 区間 $(a,b)$ で可微分な関数 $f(x)$ について
\begin{equation} f’(c) = \frac{f(b) - f(a)}{b - a} \end{equation}
を満たすような $c \in (a,b)$ が存在する。

高校数学より出てくるこの定理は恐らく馴染み深いものでしょう。
ですが、証明は初見で確かに腹落ちする人は少ないでしょう。$F(x)$というそこそこにゴツい式がRolleの定理を満足して成り行きに任せれば証明が終了します。
筆者はあまりこの証明を自然には感じられなかったので、以下のような流れで証明してみました。

【方法】
$(x, f(x))^\mathrm{T}$ に回転行列を左からかけて等長変換を行う。
この変換により新たに定めたy座標を $Y_{\theta}(x)$とおき、適切な$\theta$を定める。この$\theta$の元では$Y(b)-Y(a)=0$となるため、仮定からRolleの定理が利用でき、残りを計算すれば定理の結果を得る。

つまり、問題としている$f(x)$を回転行列を作用させることにより回転させれば、Rolleの定理を満たすような状況になるのではないかと言うものです。この流れだと前より幾ばくかは自然に思え、しかも定理が明らかに思えるでしょう。

平均値定理を証明する

話が長くなりましたが、証明をしていきましょう。

$(X,Y)$ を角$\theta$ だけ回転させた点を$(x,f(x))$とする。すなわち、

$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} X \\ Y \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc} \cos\theta & -\sin\theta \\ \sin\theta & \cos\theta \end{array} \right) \left( \begin{array}{cc} x \\ f(x) \end{array} \right) \end{eqnarray}$
これを計算し整理すると、
$$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} X = x\cos\theta -f(x)\sin\theta \\ Y = x\sin\theta + f(x)\cos\theta \end{array} \right. \end{eqnarray} $$

これにより得た$Y$$Y_{\theta}(x)$とかく。

いま、$\theta = -\arctan(\frac{f(b)-f(a)}{b-a})$

に対しては、簡単な計算により$Y_{\theta}(b) - Y_{\theta}(a) = 0 $ であるから、$Y_{\theta}(x)$についてRolleの定理が適用できて、ある$c \in (a,b)$に対し、$Y’_{\theta}(c) = 0$が成立する。
故に、
$\sin\theta +f’(c)\cos\theta = 0$
$\therefore$ $f’(c) = -\tan\theta = \frac{f(b)-f(a)}{b-a} $

よって、定理の結果を得た。

考察

我々の感覚通り、実際に適当に回転させれば$f(x)$はRolleの定理を満たすような関数に変換でき、証明できました。ただ、私の中で一つ不満なこととしては、$\theta$につく謎の負号です.
少しだけ考えてみましたが、一応筆者の中では単純に逆回転なだけではないかということで結論付けられています.というのは、本証明においては$(X,Y)$$(x,f(x))$を(反時計回りに)$\theta$だけ回転させたものとしていますが、数学的に普通な考え方ではそういった,「平均値定理での$f(x)$を回転させてRolleの定理」ではなく、「Rolleの定理でのそれを回転させて平均値定理」にするというほうが普通なのかもしれません。ともかく、筆者はあまりわかりません。また,筆者の友人は「上手くいかないのは一般に$xy$-座標を$\theta$回転させた$XY$-座標において $y=f(x)$のグラフが$Y=g(X)$の形で必ずしもかけるとは限らないことに由来しているのではないか」と言っていますが、これもあまりわかりませんでした。

修正及び補足

【補足】
Springerから出ている、「A Most Valuable Theorem」に似たような発想の証明が掲載されていました。そこでは回転行列や$\arctan$などは使わず、割と愚直に計算されていました。
【修正】
2025/7/9の夜ごろに考察欄を設け、注意欄に(ホ)を導入しました。

投稿日:78
更新日:79
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投稿者

数学科B2/微分幾何や統計周辺に興味があります。

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