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多角形における2つ以上の無理数角の存在について

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辺の長さが全て有理数の多角形において,少なくとも2つ以上の内角[rad]は無理数であることを示せ.

多角形の角度(ラジアン)の無理性に関する自作問題です.
この問題,実はネイピア数eのとある性質に関係します.


解答を表示
条件の多角形をN角形とする.多角形の頂点を反時計回りにA0,A1,...,AN1として,辺AkAk+1 (AN:=A0)の長さをakQとする.さらに,Akにおける内角をθkとする.N角形の内角の和は,(N2)πなので,少なくとも1つ以上の内角は無理数である.ここで,無理数である内角がただ1つだけであると仮定する.θ0が無理数と仮定しても一般性を失わない.よって,θ1,θ2,...,θN1Qである.ここで,A0が複素平面上の原点に,A1が複素平面上の正の実軸上に来るように多角形を配置する.φ0=0, φk:=j=1kθjQ (k1)とおくと,複素平面上のベクトルの和
A0A1+A1A2+...+AN2AN1+AN1A0=0
から,
0=k=0N1ak(cos(kπφk)+isin(kπφk))=k=0N1akei(kπφk)=k=0N1(1)kakeiφkとなるが,{iφk}k=0N1は相異なる代数的数のため,これは次のリンデマンの定理と矛盾する.

リンデマンの定理
α1,α2,...,αnが相異なる代数的数であるとき,
c1eα1+c2eα2+...+cneαn=0を満たす代数的数の組(c1,c2,...,cn)(0,0,...,0)のみである.


この定理はeπの超越性を証明できる強力な定理です.上の問題は特にeiの超越性に関係します.

投稿日:202377
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Mathお
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