ここでは東大数理の修士課程の院試の2025B01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
$G$を有限群、$X$を濃度$2$以上の有限集合とし、推移的な作用$G\times X\to X$があるとする。そして
$$
n_g=\left|\left\{x\in X\middle|gx=x\right\}\right|
$$
とおく。以下の問いに解答しなさい。
(2)の等号が成立するには、
$$
n_2=n_3=\cdots=n_{|X|-1}=0
$$
になる必要があります。よって$X$が等号を成立するとき
$$
\frac{|G|}{|X|}+n_1+n_{|X|}=|G|
$$
$$
n_1+|X|n_{|X|}=|G|
$$
になっていることから$|G|=|X|(|X|-1)n_{|X|}$がわかります。特に$|X|=4$の場合、例えば所望の例を$4$次対称群$S_4$の部分群の中から見つけようとすると、それは位数$12$の部分群、すなわち交代群しかあり得ません。(3)の例として交代群を考えることは元々それほど不自然なことでもないですが、これを考慮すると交代群を考えることがより自然に見えるのではないでしょうか?
今回の証明は自力で考えたものではなく、CohenとCameronの論文のPropositionの証明を参考にしたものです。論文は こちら で閲覧できます。