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東大数理院試過去問解答例(2025B01)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2025B01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2025B01

Gを有限群、Xを濃度2以上の有限集合とし、推移的な作用G×XXがあるとする。そして
ng=|{xX|gx=x}|
とおく。以下の問いに解答しなさい。

  1. 等式
    |G|=gGng
    が成り立つことを示しなさい。
  2. Gの部分集合
    G0={gG|ng=0}
    を取ったとき、不等式
    |G0||G|1|X|
    が成り立つことを示しなさい。
  3. 上の不等式の等号を成立するような作用G×XXで、|X|=4であるようなものを一つ挙げなさい。
  1. バーンサイドの補題から
    |X/G|=1|G|gGng
    である。但しX/Gはこの作用の軌道全体の集合である。作用は推移的であったから|X/G|=1である。よって結果が従う。
  2. まず
    ni=|{gG|ng=i}|
    とおく。このとき
    i=1|X|ni=|G|
    である。一方(1)に於いて
    i=0|X|ini=|G|
    を示していた。これによって
    n0=n2+2n3++(|X|1)n|X|
    が得られる。またG×(X×X)(X×X)に再びバーンサイドの定理を適用して
    i=0|X|i2ni=|(X×X)/G||G|
    であるから、
    i=0|X|(i1)2ni=(|(X×X)/G|1)|G|
    が得られる。ここまで得られた式から
    |X|n0=n0+(|X|1)(n2+2n3++(|X|1)n|X|)i=0|X|(i1)2ni=(|(X×X)/G|1)|G|
    が従う。ここで作用G×(X×X)(X×X)の軌道は2つ以上あることを考慮すれば、所望の結果
    |X|n0|G|
    を得られる。
  3. X={1,2,3,4}とする。そしてG4交代群A4とする。このとき自然な作用A4×XXに対して、ng=0になるσA4
    σ=(1,2)(3,4),(1,3)(2,4),(1,4)(2,3)
    |A4||X|=3個のみである。よってこれは所望の例になっている。

(2)の等号が成立するには、
n2=n3==n|X|1=0
になる必要があります。よってXが等号を成立するとき
|G||X|+n1+n|X|=|G|
n1+|X|n|X|=|G|
になっていることから|G|=|X|(|X|1)n|X|がわかります。特に|X|=4の場合、例えば所望の例を4次対称群S4の部分群の中から見つけようとすると、それは位数12の部分群、すなわち交代群しかあり得ません。(3)の例として交代群を考えることは元々それほど不自然なことでもないですが、これを考慮すると交代群を考えることがより自然に見えるのではないでしょうか?

今回の証明は自力で考えたものではなく、CohenとCameronの論文のPropositionの証明を参考にしたものです。論文は こちら で閲覧できます。

投稿日:2024830
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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