さあ、フォロワー様からいくつか特殊なケースをいただきましたので紹介させていただきます。
以下、
前回の記事
の定義1の積分に展開することを単に第一種積分展開とします。
第二種も作るつもりでいるので、第一種で。
あと、第一種積分展開では何も言わなくても$0< x<1$を条件とします。
$$f(e^{-x})=\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{x^{n+1}}$$
ただし、$c^{(n)}(0)$は$f$の積分展開係数$c(s)$の$s=0$における$n$次導関数で、$c(s)$が$s≧0$でマクローリン展開可能なものである。
以下証明では、 前回の記事 で導出した公式を用いています。
$f(t)$が$0< t<1$で定義されており、父関数$f$が第一種積分展開可能とする。$f$の積分展開係数を$c(s)$とする。
$$f(t)=\int_{0}^{∞}c(s)t^sds$$
ここで、$c(s)$がマクローリン展開可能であるとして展開すると、
$$c(s)=\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{n!}s^n$$
よって(積分と極限が交換できるので)、
$$f(t)=\int_{0}^{∞}\left(\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{n!}s^n\right)t^sds=\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{n!}\int_{0}^{∞}s^nt^sds=\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{n!}\cdot\frac{n!}{(\ln\frac{1}{t})^{n+1}}$$
$$\therefore\ f(t)=\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{(\ln\frac{1}{t})^{n+1}}$$
特に$t=e^{-x}\ (x>0)$のとき、
$$f(e^{-x})=\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{x^{n+1}}$$
すごい。この公式を見つけてくださったノメル様に感謝。
この公式を用いた計算も視野に入れていきます。
$f$の積分展開係数を$A$、$g$の積分展開係数を$B$としたとき、
$$f(x)g(x)=\int_{0}^{∞}(A*B)(u)x^udu$$
ただし、$(A*B)(u)$は関数$A,B$の畳み込みを表す。
Tsumarrrrrri !! $f$と$g$の積の積分展開係数がそれぞれの関数の積分展開係数の畳み込み!! 神!!
$$f(x)=\int_{0}^{∞}A(s)x^sds,\ g(x)=\int_{0}^{∞}B(t)x^tdt$$とする。
$$f(x)g(x)=\left(\int_{0}^{∞}A(s)x^sds\right )\left(\int_{0}^{∞}B(t)x^tdt\right)=\int_{0}^{∞}\int_{0}^{∞}A(s)B(t)x^{s+t}dsdt$$
$s+t=u$とおくと、$ds=du\ ,\ u:t\to ∞$より、
$$f(x)g(x)=\int_{0}^{∞}\int_{t}^{∞}A(u-t)B(t)x^ududt$$
積分の順序交換を行うと、
$$\int_{0}^{∞}\left(\int_{0}^{u}A(u-t)B(t)dt\right)x^udu=\int_{0}^{∞}(A*B)(u)x^udu$$
きれいですね。公式を見つけてくださったTyLite様に感謝。
生かせるところでめちゃくちゃ力を発揮しそう。
通常ディリクレ級数みたいな形になります(します)。
$x>1$に対し、
$$f(x)=\int_{0}^{∞}C(s)x^{-s}ds$$
を$f(x)$の第二種積分展開と定め、係数$C(s)$を積分展開係数、それに対する関数$f(x)$を父関数と定める。
範囲広げてディリクレ級数っぽくしただけです。
呼び名を増やすのが悪い癖になりつつあるので、積分展開以外はそのままで。($c$と$C$が安定してないのは許してっ)
見つけた・教えていただいた公式ぶっぱぁ。証明掲載済み含め、証明は割愛します。一部特殊なケースのみ、$x$の範囲を示しています。第一種は$0< x<1$、第二種は$x>1$で基本固定しています。
1.積分展開とラプラス変換の関係式
$$\int_{0}^{∞}c(t)x^tdt=\mathcal{L}[c](\ln{x})\ \ \ (0< x<1)$$
$$\int_{0}^{∞}C(t)x^{-t}dt=\mathcal{L}[C](\ln{x})\ \ \ (x>1)$$
2.積分展開係数が多項式関数の関係式
$$\frac{\Gamma(a+1)}{(\ln\frac{1}{x})^{a+1}}=\int_{0}^{∞}s^ax^sds\ \ \ (a>-1)$$
$$\frac{\Gamma(a+1)}{(\ln{x})^{a+1}}=\int_{0}^{∞}s^ax^{-s}ds\ \ \ (a>-1)$$
3.積分展開係数が指数関数の関係式
$$\frac{1}{\ln\frac{a}{x}}=\int_{0}^{∞}a^{-s}x^sds\ \ \ (a>x)$$
$$\frac{1}{\ln\frac{x}{a}}=\int_{0}^{∞}a^sx^{-s}ds\ \ \ (a< x)$$
$$\frac{1}{\ln(ax)}=\int_{0}^{∞}a^{-s}x^{-s}ds\ \ \ (ax>1)$$
4.$1+x+x^2+\cdots$のデルタ関数を用いた積分展開による表現
$$\frac{1}{1-x}=\int_{0}^{∞}\left(\sum_{n=0}^{∞}δ(s-n)\right)x^sds\ \ \ (0< x<1)$$
5.関数の積の畳み込みを用いた積分展開
$$f(x)g(x)=\int_{0}^{∞}(a*b)(u)x^udu\ \ \ \left(f(x)=\int_{0}^{∞}a(s)x^sds,\ \ g(x)=\int_{0}^{∞}b(t)x^tdt\right)$$
$$f(x)g(x)=\int_{0}^{∞}(A*B)(u)x^{-u}du\ \ \ \left(f(x)=\int_{0}^{∞}A(s)x^{-s}ds,\ \ g(x)=\int_{0}^{∞}B(t)x^{-t}dt\right)$$
6.特殊な場合の積分展開係数を用いたディリクレ級数展開
$$f(e^{-x})=\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{x^{n+1}}\ \ \ \left(f(t)=\int_{0}^{∞}c(s)t^sds\right)$$
$$f(e^x)=\sum_{n=0}^{∞}\frac{c^{(n)}(0)}{x^{n+1}}\ \ \ \left(f(t)=\int_{0}^{∞}C(s)t^{-s}ds\right)$$
他の公式が見つかり次第貼っていきます。
ラプラス変換の存在のために独自性が失われつつあります...
が、新定義の確立も視野に入れ、最初の記事の最初の式
$$\int_{0}^{∞}\frac{f^{(t)}(0)}{\Gamma(t+1)}x^tdt$$
の式変形についても積分展開の逆?操作を実行したいので、次が出来上がるまでしばしお待ち。ちなみに$t$次導関数の定義を頑張ってなんとかすればこの式は(多分)処理できます。では。