$V$を$n$次元複素ベクトル空間,$f$を$V$の可逆な線形変換とする.
(1) $\bigwedge^2 V$の線形変換$g$で,すべての$v,w\in V$にたいして$g(v\wedge w)=f(v)\wedge f(w)$を満たすものが,ただ一つ存在することを示せ.
(2) $n\ge 3$のとき,$f$が対角化可能であることと$g$が対角化可能であることが同値であることを示せ.
(3) $f$のジョルダン標準形が
$$\begin{pmatrix}1&1&0&\cdots & 0 & 0\\0&1&1&\cdots&0&0\\&&\ddots&\ddots&&\\&&&\ddots&\ddots&\\0&0&0&\cdots&1&1\\0&0&0&\cdots&0&1\end{pmatrix}$$
であるとき,$(g-I)^m=0$となる最小の自然数$m$を求めよ.ただし$I$は$\bigwedge^2 V$の恒等変換を表す.
$\varphi:V^2\rightarrow \bigwedge^2V$を$\varphi(v,w)=v\wedge w$で定義する.任意の双線形交代写像$\Psi:V^2\rightarrow W$に対して,次の可換図式を可換にする線形写像$f$がただ一つ存在する.
$$\xymatrix{
V^2\ar[r]^-{\varphi}\ar[rd]_-{\Psi}\ar@{}@<2.0ex>[rd]&\bigwedge^2V\ar@{..>}[d]^-{f}\\&W
}$$
$V,W$をベクトル空間とする.このとき,
$$\bigwedge^2(V\oplus W)\cong(\bigwedge^2 V)\oplus(V\otimes W)\oplus(\bigwedge^2 W)$$
が成り立つ.
線形写像$$\Psi:\bigwedge^2(V\oplus W)\rightarrow(\bigwedge^2 V)\oplus(V\otimes W)\oplus(\bigwedge^2 W)$$
を,
$$\Psi((v_1+w_q)\wedge(v_2+w_2))=(v_1\wedge v_2,v_1\otimes w_2-v_2\otimes w_1,w_1\wedge w_2)$$で定義する.
また,線形写像
$$\Phi:(\bigwedge^2 V)\oplus(V\otimes W)\oplus(\bigwedge^2 W)\rightarrow \bigwedge^2(V\oplus W)$$
を
$$\Phi(v_1\wedge v_2,v\otimes w,w_1\wedge w_2)=v_1\wedge v_2+v\wedge w+w_1\wedge w_2$$
で定義する.
そうすれば,$\Psi\circ\Phi=id,\Phi\circ\Psi=id$が計算により分かり,これにより同型が従う.
ちなみに,線形写像であることは外積や直和の普遍性を用いて示すことができる.
一般に,
$$\bigwedge^n(V\oplus W)\cong\bigoplus_{l+m=n}(\bigwedge^lV)\otimes(\bigwedge^mW)$$
が成り立ちます.
(3)このジョルダン標準形になる$V$の基底を$v_1,\cdots, v_n$とすると,$g$の表現行列は,先ほど考えたようになる.これは対角成分が1で,対角成分の一つ上のところに$0$でない成分が存在する行列である.よって$g-I$は${}_r C_2 $乗して初めて0となる.