べき乗和、基本対称式、完全斉次式
文字の集合に対し、べき乗和、基本対称式、完全斉次式を以下のように定義します。これから述べることはの要素数が有限のときも無限のときも成り立ちます。
基本対称式
異なるk個の文字からなる項の和を次の基本対称式と呼びと表す。
例
の項数
文字の数が個の場合、
の項数は
の項数は
の項数は
の項数は個です。これは定義からも分かります。
完全斉次式
重複を許したk個の文字からなる項の和を次の完全斉次式と呼びと表す。
例
の項数
の項数は
の項数は
の項数は
の項数は個です。これは重複組合せの係数で
とも書きます。これは以下のような考察で分かります。個の文字に個の数字を混ぜ、そこから個取り出します。文字はアルファベット順に並べ、しきいの有無により重複を表します。数字が取り出されたら、その番号のしきいを抜きます。
例えば、(a,b,c,d,e)が取り出された場合、(a|b|c|d|e)というイメージになります。(1,a,b,c,d)の場合、1番のしきいが抜かれ、(aa|b|c|d)となりを表します。この方法での項を過不足なく作れるので、の項数はとなります。
母関数
の項数はを全てにしたときのの係数なので、のの係数、すなわち になります。
の項数はのの係数なので、一般二項定理よりとなります。
ニュートンの恒等式
の対数微分より
また
よって
の式について係数比較します。どちらの式を使っても同じ結果になります。
これより以下のニュートンの恒等式を得ます。
指数表現
より
より
完全斉次式と基本対象式の関係
より
係数比較より以下の関係式が得られます。
完全斉次式とべき乗和の関係
を微分し
より
これより
係数比較より以下の式を得ます。
指数表現
より
また
その他の関係式
より
また
またより
よって
これからを何通りもの方法で表すことができます。をで置き換えるとについての式になります。
応用
としてを使うと、自然数の分割関数の母関数が得られます。また素数の乗を使い、とするとオイラー積
が得られます。