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高校数学解説
文献あり

数理生物学入門(3)〜Fibonacci数列〜

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目次

・はじめに
・内容
・最後に

はじめに

どうも、色数です。
今回は何かと話題に上がるFibonacci数列がなぜ自然界でも度々登場するのかを解説してみます。

この記事の参考文献となっている「波紋と螺旋とフィボナッチ」ではこの他にも様々な数理生物学の研究テーマが取り上げられているのでぜひ手に取ってみてください。

準備

フィボナッチ数列については こちら をご覧ください。

内容

ここ考えフィボナッチ数列が登場する対象は葉が作る螺旋です。
まず、葉の原基ができるメカニズムを考察します。
茎の成長点を模式的に表してみました。(図1)


ここで$\textcolor{green}{\bullet}$は葉の原基、$\textcolor{purple}{\bullet}$は分裂組織とし赤矢印の方向で成長していくものとしています。平たく言うと、原基とは茎の先端にある分裂組織の近くにある盛り上がりのことを指します。(ここから葉が生えてきます)
また、分裂領域から出ている細胞は分化し葉の原基となります。
そして重要なのがこの分裂組織は中心部分だけ分裂していくという点です。そして葉の原基が一定間隔で発生することも重要です。
なぜ、原基が一定間隔で発生しているのかというとオーキシンという植物ホルモンが関係しています。
葉の原基形成には一定以上の濃度のオーキシンが必要で古い原基がオーキシンを使ってしまう(参考文献では吸収とあった)ため古い原基周りではオーキシン濃度が減少してしまい濃度勾配ができます。このため古い原基は阻害的に働き新しい原基は古い原基の遠くに発生しようとします。
このとき次の図2のように2つの原基がすでにできている状態を考えてみます。

Aは1つ目の原基、Bは2つ目の原基、Cは新しい原基としています。AのCに対する影響はBよりも弱いとします。
また、原基が古くなるにつれ同じ比率で阻害効果が弱くなると仮定します。(この比率を$\alpha$とします)
さらに阻害効果は葉の原基からの距離に反比例するとします。するとCはA、Bからの影響がちょうど等しい地点に発生するはずです。その点は弧ACBを$\displaystyle \frac{1}{\alpha}:\frac{1}{\alpha^2}$に分割する点です。
$\alpha$の値が知りたいのでさらに原基を1つ増やしてみます。

このときは$\displaystyle DC:DB:DA=\frac{1}{\alpha}:\frac{1}{\alpha^2}:\frac{1}{\alpha^3}$
ここでさらに条件を加えておきます。
この原基の位置の回転は常に一定であるとします。
この条件により$DB=AC$がわかります。
よって$\alpha=\phi$がわかります。($\displaystyle 1=\frac{1}{\phi}+\frac{1}{\phi^2}$より)

最後に

今回はかなり短めで数学的な複雑さはなかったので読みやすかったと思います。
今回使われていた条件は参考文献でも言及されていたようにとても恣意的なものでしたが個人的にはかなり自然で尤もらしかったように感じました。実際自然界のほとんどの植物では上のような仮定が成り立っているのではないのでしょうか…?

参考文献

[1]
近藤 滋, 波紋と螺旋とフィボナッチ, 203〜214
投稿日:14日前

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