降下集合をとして, を降下数といい, 降下集合の元を降下という. 超過集合をとして, を超過数といい, 超過集合の元を超過という.
前回の記事
で以下の定理を示した.
これは, 降下数がである順列の個数と超過数がである順列の個数が等しいことを意味している. よって, 直接全単射を構成するような証明が望まれる. そのような証明はD. Foataによって最初に発見された.
とする.
の順列をいくつかのサイクルの積に分解することを考える.
上のようなサイクルによる分解において, 各に対して, の中でが最も大きくならばとなるように並び替えられているとする. このとき, 各に対してからまでを逆向きにして並べたもの
によって写像を定義する.
が与えられたとき, より後ろ側にあって, より真に大きいものとしてが決まり, そこからが復元できる. よっては全単射である.
以下が示されれば, 定理1が従う.
のサイクルの一つをとすると, としてそのサイクルに含まれる超過数はであるようなの個数である. よって, それはを最大値として, の降下数によって与えられることが分かり, の定義において常にであるから, これらをつなげたものであるの降下数はの超過数に等しい.
上の議論について, 一つ例を挙げる. とする. をサイクル分解すると,
となる. の部分の超過数はだけが成り立つからである. の部分の超過数は. の部分の超過数はだけが成り立つからである. よって合わせてである. の定義におけるサイクル分解の並び替えを行うと,
となる.
である. これの降下数を求めてみると, よりである. ここで両方の計算を行ったが, 比較して数え上げられている部分に着目すると, ともにである. このように, の超過がちょうどの降下に対応するように上手くが定義されているのである.