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東大数理院試過去問解答例(2025A01)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2025A01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2025A01
  1. 実数$x\geq1$に対して広義積分
    $$ f(x)=\int_0^\infty\frac{\sin y}{x+y}dy $$
    は収束することを示しなさい。
  2. 極限
    $$ \lim_{x\to\infty}x^3\left(f(x)-a_0-\frac{a_1}{x}-\frac{a_2}{x^2}\right) $$
    が有限値に収束するような$a_0,a_1,a_2$を求め、その極限値を求めなさい。
  1. まず部分積分を繰り返し用いることで
    $$ \begin{split} f(x)&=\int_0^{\infty}\frac{\sin y}{x+y}\\ &=\left[-\frac{\cos y}{x+y}\right]_0^\infty-\int_0^\infty\frac{\cos y}{(x+y)^2}dy\\ &=\frac{1}{x}-\int_0^\infty\frac{\cos y}{(x+y)^2}dy\\ &=\frac{1}{x}-\left[\frac{\sin y}{(x+y)^2}\right]_0^\infty-2\int_0^\infty\frac{\sin y}{(x+y)^3}dy\\ &=\frac{1}{x}-2\int_0^\infty\frac{\sin y}{(x+y)^3}dy\\ &=\frac{1}{x}-2\left(\left[-\frac{\cos y}{(x+y)^3}\right]_0^\infty-3\int_0^\infty\frac{\cos y}{(x+y)^4}dy\right)\\ &=\frac{1}{x}-\frac{2}{x^2}+6\int_0^\infty\frac{\cos y}{(x+y)^4}dy\\ &=\frac{1}{x}-\frac{2}{x^3}+6\left(\left[\frac{\sin y}{(x+y)^4}\right]_0^\infty-\int_0^\infty\frac{\sin y}{(x+y)^5}dy\right)\\ &=\frac{1}{x}-\frac{2}{x^3}-6\int_0^\infty\frac{\sin y}{(x+y)^5}dy \end{split} $$
    と表される。あとは優収束定理から右辺第三項は収束するから、$f(x)$はwell-definedに定まる。
  2. まず積分
    $$ \int_{0}^\infty\frac{x^3\sin y}{(x+y)^5}dy $$
    は優収束定理より$x\to\infty$$0$に収束する。よって(1)で求めた式により${\color{red}(a_0,a_1,a_2)=(0,1,0)}$が極限が有限値に収束する唯一の組であり、その収束値は${\color{red}-2}$である。
投稿日:825
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藍色日和
藍色日和
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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