ここでは東大数理の修士課程の院試の2005B02の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2005B02
とし、をの原始乗根とする。の自己同型を
で定義する。
- に対してを計算しなさい。
- の部分体に対して、拡大次数を計算しなさい。
- 拡大次数及びの上の最小多項式を計算しなさい。またがガロアかどうかを判定しなさい。
- 上次であるようなの中間体の個数を計算し、このような中間体のうち上ガロアであるものを全て挙げなさい。
- 実際に計算して
である。 - とで生成される群をとする。このとき
であることから、
である。 - 最小多項式は
であり、これによってである。これがガロア拡大とすると、になり、であるから(2)に矛盾する。よってはガロアではない。 - をとで生成される部分群とする。このとき
であるから、
である。但し半直積は非自明な半直積である。この元の位数は全てであるから、所望の中間体の個数は
である。またの位数の正規部分群はに含まれているから、ガロア拡大に対応する部分群は
であり、それぞれに対応する部分体は
である。